日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図#13Photo:PIXTA

東京証券取引所の「PBR1倍割れ」企業への改善要請もあり、割安株や高配当株が注目されている。とはいえ単純なスクリーニングでは、業績が伸びない「万年割安株」をつかんでしまう可能性もある。特集『日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図』(全16回)の#13では、アナリストの業績予想に複数のスクリーニング条件も追加して、5年後の業績に対する「割安株」を選抜した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

東証による「圧力」が追い風
下値リスクが小さく増配期待も

 派手さはないが、今こそ注目したいのが割安株(バリュー株)投資である。割安株投資は、利益や純資産などと比較して株価が割安な銘柄を狙う手法である。すでに割安な水準なので、極端な業績悪化がなければ株価の下値リスクは小さいという特徴もある。

 割安度を測る代表的な株価指標には、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の二つがある。株価を利益と比較したのが予想PERで、株価をEPS(1株当たり純利益)で割って算出。一方、株価を保有資産と比較したのがPBRで、株価を1株当たりの純資産で割って算出する。共に単位は「倍」で、数字が小さいほど株価が割安だと判断される。

 今回は、5期先のコンセンサス予想(アナリストの業績予想の平均値)がある約600社の中で、PBRが1倍未満の企業を対象に「5期先利益に対して割安な株」を選んだ。ランキングは、株価を5期先のEPSで割って算出した予想PERが低い順に並べた。

 いわば、資産に対しても利益に対しても割安で、かつ今後、さらに割安度が増すであろう企業リストである。7月10日時点の日経平均株価のPERは約15倍、PBRは約1.3倍なのに対して、80位までの企業の5期先予想PERは8倍台以下。株価の割安感は極めて強く、市場予想通りの展開となれば株価の見直し余地は大きいだろう。

 また、日経平均株価を33年ぶりの水準まで押し上げた要因の一つに、東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営」を上場企業に要請したことがある。この東証による「圧力」も株価を押し上げる材料になる。

 端的に言えば、東証はPBRが1倍を割っている企業や、ROE(自己資本利益率)が8%に満たない企業に対して、何らかの改善策を求めている。すでに、東証による圧力の効果は一部に出始めている。今後も構造改革を進めると当時に、増配や自社株買いを実施する企業が増える可能性は高いはずだ。

 次ページでは5期先の利益に対して割安な株80社を紹介。「利益の増加」を条件にしているので、攻めにも守りにも強い銘柄候補ともいえる。メガバンクや大手不動産も登場するので、ぜひチェックしてほしい。