生成AIとの向き合い方、
有効な使い方とは
我々は、生成AIとどのように向き合い、どう使っていけばよいのでしょうか。まず、人が今行っていることを「やりたいこと・やりたくないこと/できること・できないこと」で4つに分けます。「やりたくない×やれないこと」は、人がやる必要もAIに任せる必要もないので置いておくとして、残りの3つについて考えてみます。
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多くの人は図の左上の「やりたいけれども自分ではできない」ことを、AIに丸投げして任せたいと期待しているのではないでしょうか。例えばプログラミングができない人が、生成AIにコードを作らせるようなケースです。
しかし現状では、生成AIはその仕組み上、間違いを犯します。自然言語処理を行うAIは帰納法により、文脈に適合するように“見える”回答を出力します。このとき、一見本当らしくても事実ではない答えが返ってくる可能性があります。このため現時点では「やりたい×やれない」領域のことをAIに任せるのは危険です。
図の右側の領域は、AIに任せることが有効なエリアです。特に右下の「やりたくないけれどもできる」ことは積極的に生成AIに投げることができます。もし間違っていたら自分で修正することができるので、最後の確認だけを行えばよいのです。また右上の「やりたい×できる」部分は自分でやってもよいのですが、生成AIを相談相手のように活用することで、より効率よく仕事が進められるでしょう。
左上の領域はAIに任せない方がよいと述べましたが、例外もあります。「やれないけれども、できるようになりたい」ことがあるときに、生成AIを教師のように見立てて相談しながら学習することは有効です。
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例えばドイツ語を学びたい、あるいはプログラミング言語を学びたいというときに、教科書に書いてあることの意味が分からなければ、生成AIに尋ねることができます。AIは人間ではないので、何度聞いてもバカにせず、諦めずに、“根気よく”教えてくれるでしょう。そういう場面で学習支援に生成AIを使うことは、有効だと思います。
(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)