ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. 子どもが内向的です
読者からの質問 私の娘は声が小さく物静かです。日本の学校では、控えめなタイプが学級委員などになる機会はほとんどなく、リーダーとしての経験を積むチャンスが少ないと感じます。
娘にも内向型なりのリーダーシップを身につけてほしいのですが、どうすればいいでしょうか?
ジル・チャン氏 たしかに、台湾や日本の学校では、成績が良くてハキハキとした生徒がクラスリーダーに選ばれることが多いかもしれません。このような決め方が悪いとはいいませんが、一部の生徒にしかリーダーシップを学ぶ機会がないのは問題です。
なので、親ができることを2つ挙げたいと思います。
1つめは、クラス運営の役職は「交代制」にすべきだ、と先生に進言することです。
クラスリーダーのようなポストを、1年中ずっと同じ生徒が務める必要はありません。学期ごとに交代しても支障はないはずですし、実際、リーダーに向いている子がクラスに1人しかいないわけではありません。
リーダーシップを学ぶ機会は、もっと平等に割り振らないといけないと思います。先生にその点を気づかせるのは、保護者しかいません。
声を張って統率することだけがリーダーシップではない
2つめは、お子さんがクラスの活動によりコミットできるように、保護者が声がけをして働きかけることです。
実は、リーダーシップを学ぶ機会は、学級委員のようなポストを経験する以外にも、日常の中にたくさん隠れています。
たとえば、クラスメートが困っているときに、ちょっとした手助けをすること、これも「メンバーの支援」という一種のリーダーシップです。先生がプリントを配るのを手伝うのも同様です。
内向型の子であっても、このような行動を通じてクラス運営に貢献することができます。大きな声を出してクラスメートをまとめたり、クラスの先頭に立って引っ張ったりすることだけがリーダーシップではないんです。
親としては、様々な形でクラス活動に関わることが、リーダーシップを培う糧になるということをお子さんにアドバイスしてあげましょう。