米石油大手エクソンモービルとシェブロンの直近決算で改めて気付いたのは、石油・ガス事業が極めて景気循環的ということだ。もう一つ重要な点は、株主還元はそうではないということだ。エクソンが28日に発表した4-6月期(第2四半期)の純利益は79億ドル(約1兆1100億円)と、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて原油・天然ガス価格が高騰した前年同期から56%減少し、市場予想も約4%下回った。23日に決算の一部を発表したシェブロンは、同期の利益が60億ドルと前年同期の約半分にとどまったものの、市場予想は9%上回った。ブレント原油先物の4-6月期の平均価格はバレル当たり約78ドルと、前年同期比約3割下落。一方、米主要取引所の天然ガス先物は50%強下げた。ロシアの供給懸念が和らいだことで、精製マージンも縮小した。エクソンとシェブロンは減益だったにもかかわらず、配当と自社株買いを合わせた同期間の株主還元は合計152億ドルに上った。これは両社のフリーキャッシュフローが3.7倍だった前年同期に匹敵する水準だ。両社は買収も実施している。買収は手続きが完了するまで自社株買いが制限される。それにもかかわらず両社は28日、今年の自社株買い目標額(それぞれ175億ドル)を達成できるとの見通しを据え置いた。
エクソンとシェブロン、株主還元なお手厚く
原油・天然ガス価格の変動は2社の配当・自社株買いにほとんど影響を与えていない
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