空き家の売却で「3000万円の特別控除」利用したいなら絶対やってはいけないこととは?写真はイメージです Photo:PIXTA

老いた親だけが住んでいる実家は、空き家予備軍。やがて「そのとき」が来たら、空き家になった実家にどう対処すべきなのか。空き家問題に詳しい不動産コンサルタント・三木章裕が“負動産”を“富動産”にする方法を、わかりやすく解説する。

※本稿は、『実家の「空き家」超有効活用術』(フォレスト出版)の一部を抜粋編集したものです。

あなたも他人事ではない
10人に1人が空き家の所有者になる

 あなたの親しい人から「親が住んでいた実家が空き家なんだけど、どうしたらいいと思う?」と相談されたら、あなたはどう答えますか?

 空き家問題を「自分には関係ない。他人事だ」と思っている人にお伝えしたいことがあります。

 あなたも空き家問題に巻き込まれる可能性が十分にあります。たとえご自身では望まないとしても、空き家所有者になってしまうかもしれません。

 2018年(平成30)年の国の調べによると、全国で846万戸が空き家となっており、日本の総住宅数の13.6%に達しています。その比率は、まだまだ増加傾向にあります。

 また民間のシンクタンクでは、潜在的には1000万戸に達しているのではないかという推計も出ています。空き家には複数の共有名義の物件があることを考えると、日本の国民の10人に1人は、空き家の所有者になっていることになります。

 皆さんにも思い返してもらうと、身内や親戚、友人に空き家にかかわっている人がいるのではないでしょうか。

「自分はまったく関係ない」と思っていた空き家問題は、自分の実家という意味では身近で起きる可能性は十分にありえます。

 特にきょうだいのいない一人っ子の方、またはきょうだいがいても、自分もきょうだいも実家を出ており、それぞれ家庭をもって住居をかまえており、実家には親しか住んでいない方は、他人事では済まされません。

 ご両親が亡くなったら、その実家は「空き家」となります。あなた、またはごきょうだいが、自動的に空き家所有者となるわけです。

「空き家特別措置法」の改正で
固定資産税の減額措置が無くなる

 2015年に施行された「空き家特別措置法」が、2023年の国会で改正されました。

 当初の法律では、そのまま放置すると倒壊などの危険性がある建物を「特定空き家」に指定して、固定資産税の減額措置の解除や行政で撤去などができるようになりました。

 しかしながら、それだけでは全国に増え続ける空き家に歯止めがかからないため、新たに「管理不全空き家」という制度を導入して、所有者に空き家の撤去など、適切な管理を広く促そうとしています。

 これにより、従来の「特定空き家」に指定された4万戸と、今回の「管理不全空き家」については、全国で推定50万戸が新たに対象となり、固定資産税の減額措置の解除や適切な管理を求められることになります。