結局、奥さんと相談の上、竹本さんは実家を売りに出すことにしました。

親は住んでもらうために
家を残したわけではない

 竹本さんの心配をよそに、ご近所の方が、息子さん家族がこちらで家を建てたいので、近隣の竹本さんの物件を購入したいと申し込んできました。

 おかげで3カ月もしないうちに売却できることになりました。

 竹本さんの実家は、売買契約を結んだ後、解体されて売却することになりました。

 家がなくなる寂しさはありましたが、この家の売却のお金がお孫さんたちの将来のための学費に活用されるなら、少しは喜んでもらえるのではないかと、竹本さんはご両親の顔を思い浮かべました。

「家を残す」=「住んでもらいたい」という考えではなく、「資産価値として引き継いでもらいたい」と考えれば、売却に対する心理的な後ろめたさもなくなるのではないでしょうか。

 竹本さんは、次のように言います。

「300万円も余分にお金が残ることはとてもありがたく、どれだけ家計の助けになったかわかりません。私の友人の税理士さんのアドバイスと、先生から具体的でわかりやすく説明してもらったことで、はっきりやるべきことがわかりました。このようなことがなければ、いまだに何をすればいいか迷っていたと思います」

 このようにいい結果になったのは、本人が即断して行動されたからだと思います。

 時は金なり―。

 竹本さんは、すばやい判断と行動がチャンスをつかんだのです。

書影『実家の「空き家」超有効活用術 』『実家の「空き家」超有効活用術 』(フォレスト出版)
三木章裕 著

 物事を判断していく中で、いろいろな可能性があると、どれもこれも並行して考えてしまいがちですが、どれから考えるかの優先順位を決めないと、結局、何も決断しないまま終わってしまいます。

 判断には、どのように優先順位をつけるかが大切です。

 大切なことですから繰り返しますが、空き家の対策を考えるとき、「売る」「使う」「住む」「貸す」の4つのパターンを、どのような優先順位でつけるか?ここの見極め方で方向性が決まります。

 私は、「資産価値」=「金額ベース」 でお金が手元に多く残る順番に判断していけばいいと考えています。