金持ちの高級車のガソリン代を
税金で補助する必要があるのか

 高所得者・富裕層のガソリン代、電気代を補助しないで済むとするなら、困窮者向けの所得補助に必要な金額は、国民全体が使用するガソリン代、電気代の価格抑制に必要な補助金の額を大きく下回るはずだ。

 また、言わずもがななことかもしれないが、価格抑制による補助の分配効果を考えると、富裕層が乗る高級車のガソリン代は低所得者が乗る車のガソリン代を大きく上回るだろうし、大邸宅と小ぶりなアパートの電気代は比較してみるまでもない。価格抑制で得るメリットは、絶対額で見て富裕層の方が大きいのだ。

 もちろん、最終的に将来の税金で負担するにせよ、インフレを通じて間接的に負担するにせよ、補助金分の財源を誰が負担するかという問題を併せて考えないと、再分配の効果を確定して論じることはできない。ただ、直接の補助を考えるときに、価格に対する補助が相対的に、より富裕な者をより多く補助していることの分配論上の問題点も認識しておくべきだろう。

 街に出ると、いかにもお金持ちが乗っていそうな高級車を目にすることがあろう。あの車のガソリン代を税金で補助する必要があるのか、と考えてみることは無益ではない。

 経済的なロジックとしては、価格を抑えるために補助金を投入する政策はもうやめる方がいい。