固まった日銀総裁・副総裁候補
安倍首相は日銀総裁候補として、黒田東彦氏(アジア開発銀行総裁、元財務官)、副総裁候補として岩田規久男氏(学習院大学教授)と中曽宏氏(日銀理事)を国会に提示した。国会採決は3月15日までに行われる見通しである。
現職の白川日銀総裁が議長を務める金融政策決定会合(以下、決定会合)は3月6~7日が最後となる。それまでに大きな市場環境の変化(円高、株安など)がない限り、追加緩和の可能性は限られよう。
5つの緩和オプション
新総裁の最大の課題は、いつ、どの程度の追加緩和を行うかにある。この点で、新総裁が議長を務める最初の決定会合(4月3~4日)に向けて、市場の関心は高まるであろう。
現時点で筆者が想定する緩和オプションは、以下の5つ。
①残存年限を1~10年に延長した上で2013年の基金の長期国債買入枠拡大(2013年末44兆円→60兆円)。なおこの場合、同オペを現行の輪番オペに吸収し輪番オペを増額するという形態もあり得る。
②社債やETFなどリスク資産(外債は除く)の買入枠を5~10兆円拡大。
③2014年に導入されるオープンエンド型の国債買入額の前倒しと引き上げ(ただし、①で触れたように基金の国債買入れを輪番オペに吸収することになれば、この選択肢は不要となる)。
④超過準備に対する付利水準の引き下げ(現行0.1%→0.05%。ただし撤廃は想定していない。当座預金の積み上げが難しくなることが理由)。
⑤何らかの経済指標(CPIが有力)が特定水準(CPIであれば前年比2%)に安定的に達するまで緩和策を続けるというフォワード・ガイダンスの導入。