違反行為に及んだサポーターを
本当に「出禁」にできるのか?
処分を科されたに人数そのものも少ないと批判されているなかで、JFAは今後も数十人規模の体制で映像調査などを継続。新たな違反行為が判明すれば、追加処分を科していく方針を固めている。
一方で前述したように、浦和そのものに対する処分も科される。こちらはJFAの懲罰基準のもとで、理事会ではなく独立した司法機関の規律委員会で議論される。同委員会は今月中旬の開催が予定されていて、一部メディアでは来シーズンの天皇杯出場権はく奪が報じられている。
規律委員会から科される処分に対しても、浦和は「厳粛に受け止め誠実に対応してまいります」とすでに表明している。もっとも、それで今回の乱入事案への処分が全て終わりになるわけではない。
例えば入場禁止処分の実効性を担保できるかどうか。天皇杯で違反行為に及んだサポーターのなかには、実は別件で浦和から入場禁止処分を科されていた1人が含まれていた。顔や指紋などの認証システムが導入されていない状況下で、全試合会場でどのようにして17人に関する情報を共有していくのか。これは浦和が主導する形で取り組んでいかなければいけない課題だろう。
前出のオンライン会見の冒頭で、田口社長はこんな方針も明かしている。
「ガイドラインのみに即して罰則を科す、従前からの判断基準を見直していく必要があると考えています。外部有識者の力を借りるなどして客観性を担保しつつ、違反行為の内容によっては罰則をさらに厳格化するなど、毅然とした対応とその具体的な運用を検討しています」
サポーターとの対話を引き続き重視しながら、同時進行で再び違反行為を起こさせないための抑止力も早急に講じる。早い段階で「暴力行為は確認されていない」と明言し、各方面から大きな疑念を抱かれた浦和にとって、失われた信頼を取り戻すための自浄能力も早急に問われてくる。