悪玉の総量を表す
新しい数値にも注目
「健康診断で注目したい数値には、HDL(善玉)コレステロール値、LDL(悪玉)コレステロール値のほか、Non- HDLコレステロール値があります。2018年度から、健康診断の検査項目に新たに加わった数値です」
Non- HDLコレステロールとは、総コレステロールからHDL(善玉)コレステロールを引いた数値で、LDL(悪玉)コレステロールも含めた「悪玉」の総量を表します。実際に引き算をしてみると、ちょうどその値になるはずです。
LDL(悪玉)コレステロール以外の悪玉は通常ごくわずかですが、レムナントなど中性脂肪を豊富に含むリポタンパク質に含まれているコレステロール。中性脂肪の値が高い人は、あわせてこのNon- HDLコレステロールの値もチェックしましょう。
また、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が増えすぎたり、HDL(善玉)コレステロールが減りすぎたりすると「脂質異常症」と診断されます。この判断基準になる数値は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(日本動脈硬化学会)で示されています。
脂質異常症の診断基準

*空腹時に採血した血清1dl当たりに含まれる脂質の量。この診断基準は、薬を使う治療の開始基準を示すものではない。
出典:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
各数値それぞれの値に該当する症状名は表の左側にありますが、この4つのいずれかに該当する場合は脂質異常症であり、かつ動脈硬化になりやすいとされています。
「ただし、日本人間ドック学会が実際に健康な人のコレステロール値を測ったところ、総コレステロール値はこの基準よりやや高めだったという報告もあります。コレステロールや中性脂肪の値を見る時には、現在は健康でも動脈硬化が進行しないように、自分に動脈硬化リスクがあるか――喫煙や運動不足、お酒の飲み過ぎ、高血圧や糖尿病である――などを鑑みて、医師に相談して判断するようにしてください」