ジャニーズ事務所Photo:PIXTA

企業からの広告や番組の出演契約を打ち切られるなど、ジャニーズ事務所に所属する多くの罪なきタレントたちが苦境に立たされている。そんな彼らに伝えたいのが、「経営の神様」とまで言われた稲盛和夫氏の言葉だ。大成功に見える人生の裏では、本人の賢明な努力とは別のところで襲いかかってくる逆風や不運に幾度も見舞われていたからだ。稲盛氏が「挫折続きだった人生が一転した」と振り返る覚悟の中身をご紹介しよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

ジャニーズタレントに届けたい
「経営の神様」の言葉がある

 ジャニーズ事務所の所属タレントに逆風が吹き荒れている。毎日新聞の世論調査(2023年9月16、17日実施)では、ジャニーズ事務所の創業者で元社長のジャニー喜多川氏(19年死去)による性加害問題について、「ジャニーズ事務所が信頼を回復できると思うか」という問いに対して、「できないと思う」が63%、「できると思う」の18%を上回った。

 また、ジャニーズ事務所に所属するタレントを広告などへ起用するのを見送る企業が相次いでいることについては、その対応を「理解できる」と答えた人が60%、「理解できない」が28%、「わからない」が11%だった。

 ジャニー氏が起こした最悪の性加害事件について筆者は、所属タレントに対してひどく同情している。一部には性加害や見て見ぬふりの告発対象となっている人物もいるが、そもそも彼らは性加害を起こしたわけでもなく、加担したわけでもない。むしろ、黙ってはいるものの、性加害の被害者だって含まれているかもしれないからだ。

 自らが起こした問題でもない罪において、罰を受けているようなものだ。ジャニーズ事務所の所属タレントとの契約を更新しないと企業側が発表する状態が続いていて、「当然だ」とする有識者も複数いることから、この流れはしばらく続くことが予測される。

 このような不遇が起きるのは、ジャニーズ事務所の所属タレントは、世間に大きな影響を与えているからであり、それに伴って大きな責任が課せられていると考えた方がいいかもしれない。

 そこで思いをはせたいのが、京セラとKDDIを創業し、瀕死の日本航空(「嵐ジェット」を飛ばしていたJAL!)を再建させ、「経営の神様」とまで言われた稲盛和夫氏のことだ。はた目には大成功の人生に見えるのだが、本人の賢明な努力とは別のところで襲いかかってくる逆風や不運に幾度もメンタルが折られそうになったようだ。

 企業としてのジャニーズ事務所の問題点を整理した後に、ジャニーズ事務所に所属するタレントたちに届けたい稲盛氏の言葉をご紹介する。