「新宗教」大解剖#5Photo:PIXTA

安倍晋三元首相の銃撃事件を発端として、宗教と「政治・カネ」への関心が大きく高まっている。しかし、宗教への無理解が誤解を生む側面も無視できない。そこで、経済メディアならではの視点で新宗教を切り取った週刊ダイヤモンドの特集を再掲し、特集『「新宗教」大解剖』としてお届けする。#5では、立正佼成会を取り上げる。創価学会をはじめとして他の教団で組織改革が進む中、新宗教界における事実上の2番手の巨大教団が、社会変化に対応できないまま“緩慢な死”に向かっている。

「週刊ダイヤモンド」2018年10月13日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

新宗教界で創価学会に次ぐ地位にある
立正佼成会で進む信者の急減少

「今までのやり方が、全く通用しない時代になってしまった」――。

 新宗教教団において、創価学会(827万世帯)と幸福の科学(1100万人)に次ぐ公称信者数を誇る立正佼成会。この巨大教団の行く末を古参信者はそう嘆く。

立正佼成会会長・庭野日鑛氏立正佼成会会長・庭野日鑛(にちこう)氏

 立正佼成会は、パーフェクトリバティー(PL)教団や崇教真光(すうきょうまひかり)など35の宗教法人が加盟する新日本宗教団体連合会(新宗連)の中心的存在で、反・創価学会の旗手である。2018年には創立80周年の節目を迎えた。影響力や歴史を加味すれば、新宗教界で創価学会に次ぐナンバー2の立ち位置にあるといってよい。

 だが、その本拠地、東京都杉並区の巨大な大聖堂は、平日の日中とはいえ、閑散としていた。

 それもそのはず。1993年に654万人を超えた公称信者数は、16年には272万人と20年余りで6割減った。本特集#1『創価学会をも襲う構造不況…意外に知らない「新宗教の実態」信者数、政治的立場は?』のシミュレーションで示したように、今後も信者の減少は避けられない情勢だ。公表されていないが、信者の減少だけでなくその高齢化も進んでいるからだ。「信者の主力は60代以上の高齢層」とは別の古参信者。ボリュームゾーンの信者が一線を退けば、さらなる教勢の衰えは想像に難くない。

 だが、なぜ創価学会や真如苑と比べ、立正佼成会はかくも信者の減少が進むのか。そこには、布教システムが社会変化に対応できないまま“緩慢な死”に向かっている立正佼成会の姿があった。