「新宗教」大解剖#8

安倍晋三元首相の銃撃事件を発端として、宗教と「政治・カネ」への関心が大きく高まっている。しかし、宗教への無理解が誤解を生む側面も無視できない。そこで、経済メディアならではの視点で新宗教を切り取った週刊ダイヤモンドの特集を再掲し、特集『「新宗教」大解剖』としてお届けする。#8では、多くの教団が沈みゆく中で成長を続ける真如苑を取り上げる。なぜ多くの信者たちを魅了するのか。その秘密に迫った。

「週刊ダイヤモンド」2018年10月13日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

真如苑が多くの信者を
魅了する秘密とは?

 激しい雨が降り続く中、屋外に座る約5000人の信者たちは微動だにせず、祈りをささげていた(写真)。

真如苑が「新宗教のロールモデル」たる理由、時代を捉えた“事業モデル”の極意真如苑が毎夏、河口湖畔の教団施設で行う護摩たきの法要。全国から1万人以上が訪れる。 Photo by Hiroki Matsumoto

 18年9月中旬、山梨県の河口湖畔で行われた真如苑の毎夏の行事「斉燈護摩法要(さいとうごまほうよう)」。2日間で全国から1万人を超える信者が集結した。会場ではオーケストラ、合唱団、和太鼓の奏者たちが音楽を奏で、その法要の様子は全国104カ所の施設へ向けて衛星中継された。

 東京・立川を本拠地とする真如苑は、新宗教を取り巻く環境が厳しさを増す中にあって、信者数が増え続ける勝ち組教団だ。1995年に約73万人だった国内の公称信者数は、この20年で約93万人と約3割も増加した。海外を含めると信者数はすでに100万人を超える。創設年こそ創価学会や立正佼成会と同じく30年代と古いものの、一般的な知名度はほとんどなかった教団が、なぜここまで教勢を広げているのか。

真如苑が多くの信者たちを魅了する秘密の一つに、時代の変化に対応した驚きの“事業モデル”がある。新宗教のロールモデルともいえるその「真如苑システム」の極意に迫った。