今回、さまざまな話を聞く過程で、面白い発言をする人に会った。

「GIIGNLというLNG輸入者国際グループがあります。東京ガスなどが呼びかけて設立された非営利団体です。毎年、英文でレポートを出しています。2022年に『Japan』は43回の登場回数にたいして、『China』は101回も出てくる。『Korea』すら39回も出てくる(2021年の世界のLNG輸入におけるシェアは中国21.2%、日本19.6%、韓国12.4%となっている)。国際的には日本よりはるかに中国が注目されているわけです。LNGは輸出と輸入の二国間の関係がすべてです。プーチンの戦争以降、世界は長期契約の重要性を理解しました。日本は遅れて気づいた。日本は国家としての戦略が欠けています。客より供給者が強いのは明らかでしょう。日本は民間に任せすぎている」

書影『買い負ける日本』『買い負ける日本』(幻冬舎新書)
坂口孝則 著

 たしかに、中国は国をあげての調達だし、韓国も公社が輸入する。ただし、「民間に任せすぎ」については公平に付け加えておこうと思う。日本勢も経済産業省と連携しJERA(東京電力と中部電力)らがオマーンと10年の契約を締結している。またINPEXも米国と20年の調達契約を締結している、など無策ではない。また、LNG確保が求められるなか、資源エネルギー庁が自らカタールと交渉し、新たに長期契約を探る様子が確認できる。

 もっともカタールは、(いまさら交渉するぐらいなら)「何故に長期契約を結ばなかったのかということについて、まだ納得していない感じだった」らしく、「日本だけ特別扱いするわけにはいかないということだと思う」と資源エネルギー庁関係者が正直に明かしている。

 この意味では、国が何もしていないわけではないし関係者は奮闘しているが、官民の一体感と骨太の戦略が不在ということだろうか。しかし戦略の不在、ならびに強いリーダーシップをもつ司令塔の不在は致命的だ。