液化天然ガス(LNG)の価格高騰などで逆ざやが発生し、経営悪化が著しい電力業界。そのような中でも東京電力グループと中部電力が折半出資する火力発電・燃料調達会社「JERA」は総資産が12兆円を超え、業界トップクラスとなった。特集『総予測2023』の本稿では、業界の“裏ボス級”にまで急成長したJERAの針路を探った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
LNGを巡る2022年のダブルパンチ
「欧州の買い集め&米基地で事故」
――2022年も液化天然ガス(LNG)のスポット市場は高値が続きました。
(ロシアからの輸入減で)欧州で買い集めが発生して、アジアでも価格が高くなり、物量も減りました。そして米フリーポートLNG基地で火災事故が起き、ダブルパンチとなりました。燃料トレーディング子会社、JERAグローバルマーケッツが機動的に調達し、何とか確保できています。
日本全体で見たときには頑張り切れないエネルギー会社も存在します。われわれがどう支援できるのか。国の支援や制度設計も必要でしょう。
――具体的にどのような「最悪シナリオ」を想定していますか?