日本はエネルギーの大量消費国でありながら、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に依存している。この国がエネルギー資源で買い負けるとなったら、国家の根幹が揺らぎかねない。特集『安いニッポン 買われる日本』(全24回)の#10では買われる日本よりさらに悲惨な、「買い負ける日本」の現実をレポート。LNG(液化天然ガス)の世界争奪戦で日本が買い負け、最大の需要家の地位から陥落する危機にあるのだ。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
買われる日本より悲惨な「買い負ける日本」
LNGで日本があの国に買い負ける
特集『安いニッポン 買われる日本』は、賃金や資産価格が下落し、海外から買いたたかれる日本のさまざまな断面を切り取って伝えている。今回は少し毛色を変えて、「買い負ける日本」の危機についてレポートしよう。
日本にとっていかんともし難い所与の条件の一つに、「資源が乏しい」というものがある。特に化石燃料を柱とするエネルギー資源は、自給率が1割程度で、ほとんどを海外からの輸入に頼っている。このエネルギー輸入で、他国に買い負ける事態になれば、日本のエネルギー安全保障に大きなリスクが生じる。
その事態が今、LNG(液化天然ガス)の市場で実際に起こりつつあるから大変だ。
脱炭素ブームでLNGを巡る「世界大争奪戦」が繰り広げられる中、ついに日本が世界最大の買い手国の地位から陥落することになりそうだ。日本を抜いてトップに躍り出るのは、果たしてどこの国なのか。