世界の覇権を握る米国。地政学的な観点から見ていくと、米国の優位性に加え、米国が覇権を維持するための大きな戦略が浮かび上がる。特集『対話で分かる地政学』(全14回)の#7は、地政学の“第一人者”である奥山真司氏が米国の動向を解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希、監修/地政学・戦略学者 奥山真司)
覇権国、米国の戦略を
地政学で読み解く
陸 お母さん、ご飯お代わり。あ、大盛りにしてね。
恵 あら珍しい。いつもはご飯そっちのけでゲームしているのに。
陸 学校でさ、地政学の話をしたんだよね。そしたらみんな知らなくて。あの学級委員長ですら、そばで聞き耳立てちゃってて。おかしかったな~。
明 わしも相当久々に将棋の会に行ったんじゃが、地政学の話は受けたのう。
奥山 (単身赴任中の陸の父の席に座り)ちょっと待ってください!
明 恵 陸 え、奥山先生!またいつの間にそこに。
奥山 皆さん熱心に話していたのでお気付きにならなかったのですね。
さて、地政学の基本はこれまでの説明で理解していただけたかもしれません。しかし、それはまだまだ序の口です。地政学は、国の「振る舞い」を研究するものと言いましたよね。これから、応用編として具体的に大国についても見ていきましょう。
陸 現在の大国っていうと米国や中国ですよね。
奥山 まずは現在の覇権国である米国からいきましょう。地政学を基に米国の戦略を説明していきますね。