世界の覇権を握る米国は来年に大統領選挙を控える。特集『対話で分かる地政学』(全14回)の#8は、米国の政治外交の専門家の三牧聖子氏が、今後の米国の対外政策の見通しに加え、米国の現状について解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
米国のウクライナ支援は突出も
野党・共和党から継続に疑問の声
陸 さて今回の講義のテーマはなんだろう。あれ、奥山先生はまだ来てないのか。
明 せっかくコロッケ買ってきたのに。お茶でも飲んで待っとるか。
三牧 (ガチャ)どうも、こんにちは。三牧聖子です。奥山先生の紹介で来ました。
明 ぶっ、ゴホゴホ。びっくりした。奥山先生の紹介?
三牧 はい。来年に大統領選挙を控える米国の現状を皆さんにお話ししてほしいということでした。
恵 あら、わざわざお越しいただきすみません。どうぞよろしくお願いします。
三牧 早速ですが、まずは米国の外交戦略からお話ししましょう。
陸 米国は三大地域でバランスを見ながら介入を進める戦略ですよね。
恵 (あら、地政学のおかげで随分大人びちゃって……)
三牧 これまでの大きな枠組みはそうですが、足元はやや変化しています。9月下旬に、ロシアに侵略されているウクライナのゼレンスキー大統領が国連で演説をしました。これは米国に対する、「支援を継続してほしい」というメッセージです。
恵 朝の情報番組で見たけど、米国はウクライナにたくさん支援をしているんじゃ……。
三牧 米国のウクライナ支援は突出しています。しかし、野党・共和党からは支援の打ち切りを求める声が上がっています。直近に成立した予算案にもウクライナの追加援助は盛り込まれず、支援継続のめどは立っていません。
明 米国はみんなウクライナ支援に賛成なのかと思っていたんじゃが……。