イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエルによる報復は回避できそうにないことから、防衛関連株が完全にではないものの地政学的リスクを測る指標となっている。今のところ、警告灯は赤というより黄色に点滅している。防衛大手の米ロッキード・マーチン、米ゼネラル・ダイナミクス、英BAEシステムズは、紛争が始まってから株価が約10%上昇。米ノースロップ・グラマンは16%高。米RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)は、商業用エンジン部門が製造上の欠陥で打撃を受けたものの、それでも5%上昇。戦車「レオパルト2」の砲を製造する独ラインメタルは17%上げた。過去の例を見ると、局地的な紛争による防衛関連銘柄の上昇は息切れが早い。上昇が持続するのは、戦闘が地域に拡大し、世界の政治を動かしたときだ。1990年の湾岸戦争開始がその例だ。ロッキード、ノースロップ、ゼネラル・ダイナミクスなどの株価収益率(PER)は、その後何年も高水準で推移した。アフガニスタンとイラクで戦争が起きた際も株価が上昇した。