ピアノを習っている人たちの間で、よく言われるのが「アップライトとグランドではタッチ感が違う」というものだ。たしかにアップライトとグランドでは、その構造が違う。

 もっとも、実際にグランドピアノを家に置くとなると、周囲への音の配慮も必要だ。またアップライトに比べ、グランドともなると、中古でもその価格は約150万円程度とみておきたい。決して安価な買い物ではない。また場所も取る。

 そもそもピアノを習う人たちの「電子ピアノ、アップライトピアノ、グランドピアノ」という楽器の変化は、子どもが習う場合、途中で辞めてしまった場合、その費用が無駄になることからきているという

 グランドピアノに比してアップライトはタッチ感が軽いので、「小さな子だとグランドの鍵盤を弾く力がない」(大倉氏)という事情もあり、電子ピアノ、アップライト……と、段階を踏むのが定番となったのかも知れない。

 そうすると、大人からピアノを始めるとなれば、環境と経済的事情さえ許せば、大人の初心者でも、まずグランドピアノを購入、それから相性の合うピアノ講師を選ぶという順序が効率的にみえる。その点について大倉氏に訊いた。

「そうなんです。何も制約がなければ最初からグランドを購入してピアノを始めることはとても効率的です。ただ、なかなかそれは難しいことですが……」

これだけは押さえておきたい
クラシック曲のお勧め

 さて、実際にピアノを弾いてみたい、習ってみたいとまでは思わなくとも、これからピアノ曲を聴いてみたいと思っている向きもあるだろう。

 だが、それまで音楽やピアノに親しみがなかった。だから何を聴いていいのかわからない。折しもこの教養ブーム。教養ある大人として、これだけは押さえておきたいクラシック曲のお勧めを、大倉氏に訊いてみた。