「では、ピアノ曲をいくつか……。まずはモーツァルトの『トルコ行進曲』。ベートーヴェンなら『エリーゼのために』『悲愴』『月光』、『熱情』。ショパンだとワルツ、『英雄ポロネーズ』『バラード』『ノクターン』でしょうか。またリストの『愛の夢第3番』。ラフマニノフの『ピアノ協奏曲』といったところです。
これらはどこかで聴いたことあるような曲だと思います。とりわけショパンのピアノ曲は有名な曲がとても多いです。それだけ人々の耳に残りやすい曲だからでしょう」
芸術の秋に語りたくなる
「ピアノ蘊蓄」の魔法
耳に残りやすい曲といえば、巷でよく耳にする歌謡曲もある。これら「今の時代の音楽」は、時代を経て、歳月を重ねることで、やがて“クラシック音楽”になるのだろうか。
事実、「現代音楽」という言葉も、音楽界隈では耳にする。あまりクラシック音楽に親しみのない大人からの素朴な疑問として、“正統派クラシックピアニスト”である大倉氏に蘊蓄、話のタネとしてとして最後に訊いてみた。
「よくテレビなどで耳にする音楽、これは現代、今の時代に作られた曲ではありますが、『現代音楽』とは言わず、『商業音楽』と言われます。『現代音楽』とは、正当なクラシックの血筋として継承されてきたという点で考えると、『現代のクラシック音楽』となります」
なるほど、ちょっとした教養として、早速、話したくなる。芸術の秋、新たな趣味として、奏でる、聴くを問わず、ピアノを始めるのもいいかもしれない。
(取材・文/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)