2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理#5Photo by Yoko Suzuki

マンション管理の現場に今日も現れる問題住人や管理会社のフロントマン……。管理組合ベテラン理事と管理会社社員たちが、マンションに跋扈する驚きのモンスターたちの生態を一挙にぶちまける。特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#5では、マンション管理の裏の裏を知るインサイダーたちによる座談会の上編をお届けしよう。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

【座談会参加者】
●はるぶー
 @haruboo0 RJC48代表。東京都足立区の500戸超マンションの理事を15年
●がすたま @gasu_tama 妻「やれ」。私「はい」。3回目の転生マンション理事役員生活
●ぞくぶつ @sokubukken マンション管理が趣味の人(炎上系)
●黒ひつじくん @TDmU7jdTLqYw9Sp マンション管理士。日本全国対応の何でも屋
●はじめ @mscondohajime マンション管理会社のフロントの人

「あれ?そこは事務所のはずなのになんで洗濯機が
あるんだろう?」勝手に脱法ハウス増築住民

――今日は管理会社と管理組合理事関係者にお集まりいただきました。まずは「私が目撃した、こんなすごい管理組合や区分所有者」の体験談が聞きたいです。

はじめ 住人だと「某国のスパイに狙われている」とか「下の階の人に張り込まれてます」みたいなクレームを受けたことはありましたね。すみません、それはスパイじゃなくてうちの管理会社の社員だ。

黒ひつじくん(黒ひつじ) 登記簿上だと事務所のはずなのに共用部を勝手に改装して、洗濯機とかプロパンガスが増設されてて、脱法ハウスを作った住民とか。100万円くらい管理費・修繕積立金を滞納してる住民とか。

 あと、すごいフロント(管理会社から管理組合に派遣される営業担当)でいうと、管理会社が駄目過ぎるのでリプレイス手伝ってほしいという相談を理事会側からされたことがあったんですね。

 両方の話を聞いて、まずは擦り合わせする場を設けて、フロント、上役の部長、理事長がいる場でフロントにできることを二つだけ約束させた。「理事長からフロントに送ったメールは3営業日以内に受信確認の返信をすること、理事会資料を理事会の2日前までに投函すること」。これだけだったんですが、後日管理会社側が作った議事録の素案にはそれらが一つも書かれてない。ぶち切れて、結局僕が議事録を書いて残した。これだけのやりとりがあったにもかかわらず、翌月の理事会でフロントくんはそれらを全部すっぽかしやがりました。中堅の割と有名な管理会社の話です。

はじめ あるあるー。珍しくないよそういう人。

黒ひつじ はじめちゃん、感覚おかしくなってません?

はるぶー マンションって、都内は特に時給5000円くらいの高収入の人が買ってるでしょ。自分の仕事の常識は管理会社フロントと管理員の仕事の常識と同じじゃないと思った方がいい。時給が違うんだから。

ぞくぶつ 以前のフロントはひどくて「何もできなくてもいいし、間違えても遅れてもいいからうそと隠し事だけはやめろ」という約束すら守らないので飛んでもらいました。

はるぶー でもね、例えば、モンスター住民からのクレームの電話受ける真面目な新人のフロントの人とか、解決できないクレームに30分とか1時間付き合ったりするわけですよ。これが何日も重なってそれがフロントの労働時間を食い尽くしてるっていう可能性もあるんじゃないかな。本来理事会で500戸のために使うべきフロントの時間を、その1戸のために浪費してるという。「そういう電話は受けるな」とか理事会で言ってあげないと改善は難しいよね。

モンスター住人、フロントのみならず、マンションの管理員や管理組合理事にもモンスターはいるという。そして、国際化が進むマンション住人の中で最近よく起きている「ある問題」とは?次ページでメンバーが赤裸々に語ってくれた。