2010年代以降に建てられた築浅マンション。建物の状態はいいものの、ここで良い管理の体制がつくれるか否かでその将来は百八十度異なるものになる。結成されたばかりの管理組合をいかにうまく経営するかのマネジメント手腕も問われる。特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#19では、そんな少年期世代のマンションから、最高位の五つ星管理格付けを獲得したマンションを全国から207ピックアップした。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
新築デベロッパーの「初期設定管理条件」には要注意
初期にゴールド管理マンションになった勝ち組を探せ
新築マンションが激減する中、偽物ではなく本物の「ゴールド中古マンション」を見いだすためには?
これまではブラックボックスの中にあった、マンション管理。だがこれを白日の下にさらす評価制度が2022年から始まった。改正マンション管理適正化法の施行により、国が優良な管理計画を持つマンションを認定する「マンション管理計画認定制度」(詳細は特集『マンション管理 天国と地獄』の#4『マンション管理「評価格付け」4月開始で何が変わる?国交省&業界団体の両制度を最速解説』参照)がそれだ。
そしてこの制度とリンクするようなかたちで、管理会社の業界団体としては最大のマンション管理業協会(マン管協)が「マンション管理適正評価制度」を開始した。それぞれのマンションの管理状況が、管理体制、建築設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連の五つの大分類に分かれた全30項目について評価される。各項目で何点を得られたかまで分かり、合計得点によって星五つから無星までの6段階評価がなされる。
12月3日現在でマンション管理計画認定制度には全国339のマンションが、マンション管理適正評価制度には2428ものマンションが登録されている。
ダイヤモンド編集部では、このうちマン管協の適正評価制度に登録し、マンション管理適正評価サイトに掲載されたデータを徹底分析。最高評価である五つ星(管理評価獲得ポイントで90点以上)を獲得している、いわば「ゴールド管理マンション」を選び出した。そして、サイトでは直接検索できない築年数などのテーマに従ってリストアップしたのが、次ページからの「ゴールド管理マンションリスト」だ。ちなみに、同時に国の認定制度も取得しているマンションは別途マークで示している。
今回は、10年1月以降に建設されたゴールド管理マンションを取り上げる。
築十数年、まだ築浅のカテゴリーに入るマンションだ。建物の状態もまだ良好で、住民も転居してきたばかりで若い。しかし、同様の立地と築年数で一見同じマンションでも、この時期に適切な管理状態を確立しているか否かで、今後のマンションの価値は大きく変わることになる。
特に「最近の新築マンションで販売デベロッパーが分譲時に設定する管理計画は甘過ぎるものが多い」と管理業界関係者は指摘する。
長期的に必要になる修繕積立金の毎月の徴収額が、不当に安過ぎるのはその典型だ。物件販売時にローンと合わせた月々の支払額が少しでも安くなるように見せたいがためのデベロッパーの戦略なのだが、これをこのままにしておくと修繕積立金が足りなくなり、のちのち大幅な値上げを連続して行うなどのことを余儀なくされる。
このほかにも、24時間対応のコンシェルジュやカーシェア、住民専用のミニショップなど、管理費会計の金食い虫となりかねない共用施設が含まれていたり、メンテナンスコストが膨大にかかる立体駐車場、芝生などがあったり――など、「デベロッパー初期設定管理条件」にはわながたくさんある。このため築浅のうちに、新築時の管理費の初期設定のうちで将来の円滑な管理と資金計画の妨げになるものを改善していくことが重要となる。
次ページから紹介する207の五つ星ゴールド管理マンションは、そうした見直しに早くから取り組んできたえりすぐりのマンションだ。築浅中古物件の購入を検討している人はぜひ参考にしてほしい。将来後悔しない選択ができること請け合いである。