2000年代に建てられ、そろそろ築20年を迎えるマンション。マンションにとって最初の一大イベントであり、財政の健全・不健全の分水嶺でもある大規模修繕を終えたマンションも多い。特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#14では、そんな「成年期」世代のマンションから、業界団体マンション管理業協会の評価制度で最高位の五つ星管理格付けを獲得したマンションを全国で128ピックアップした。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
ベビーブーマー世代のマンションが
第1回の大規模修繕を迎えている
新築マンションが激減する中、偽物ではなく本物の「ゴールド中古マンション」を見いだすためには?
これまではブラックボックスの中にあった、マンション管理。だがこれを白日の下にさらす評価制度が2022年から始まった。改正マンション管理適正化法の施行により、国が優良な管理計画を持つマンションを認定する「マンション管理計画認定制度」(詳細は特集『マンション管理 天国と地獄』の#4『マンション管理「評価格付け」4月開始で何が変わる?国交省&業界団体の両制度を最速解説』参照)がそれだ。
そしてこの制度とリンクするようなかたちで、管理会社の業界団体としては最大のマンション管理業協会(マン管協)が「マンション管理適正評価制度」を開始した。それぞれのマンションの管理状況が、管理体制、建築設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連の五つの大分類に分かれた全30項目について評価される。それぞれの項目で何点を得られたかまで分かり、合計得点によって星五つから無星までの6段階評価がなされる。
12月3日現在でマンション管理計画認定制度には全国339のマンションが、マンション管理適正評価制度には2428ものマンションが登録されている。
ダイヤモンド編集部では、このうちマン管協の適正評価制度に登録し、マンション管理適正評価サイトに掲載されたデータを徹底分析。最高評価である五つ星(管理評価獲得ポイントで90点以上)を獲得している、いわば「ゴールド管理マンション」を選び出した。そして、サイトでは直接検索できない築年数などのテーマに従ってリストアップしたのが、次ページからの「ゴールド管理マンションリスト」だ。ちなみに、同時に国の認定制度も取得しているマンションは別途マークで示している。
今回は2000年1月以降、09年12月までの2000年代に竣工したマンションを取り上げる。
2000年代は首都圏の新築マンション供給がピークに達した時期でもある。不動産経済研究所によると2000年には9万5635戸が首都圏で供給されている。その後も、08年のリーマンショックで4万戸台に急激に落ち込むまでは、年間平均で約8万戸が供給されていた。マンション界の「ベビーブーマー」とでも呼ぶべき、大量供給時代の申し子だ。また、リーマンショック以前に存在したが、いまはもう消滅して存在しない新興デベロッパーが施工・分譲したマンションも多い世代だ。
いま築20年を迎えようとしているこの「成年期」世代のマンションは、マンション管理のいわば最初の難関を乗り越えなければならない年代にある。それがだいたい築15年目に経験する、1回目の大規模修繕だ。
新築時から適切に積立金の徴収ができていなければ、大規模修繕が終わった直後に管理組合の財政は極端に悪化する。そうならないように、1回目のみならず築30年頃に来る2回目の大規模修繕にも困らないような資金計画をどう立てるか。こうした課題をクリアしたマンションのみが晴れて五つ星を獲得できるのだ。
次ページからはこうした成年期の五つ星マンション128件を一気に紹介していこう。千葉県船橋市と東京都港区などの1000戸を超える大型物件がリスト入りするなど、さまざまな種類のゴールド管理マンションが勢ぞろいしている。