また、SolanaやAlchemy、Polychainなどパブリックブロックチェーンやプロトコル開発企業がファンドや財団を作る流れもあります。これはブロックチェーンやプロトコルが生み出すエコシステム上にアプリケーションが乗れば乗るほど、彼ら自身の価値が上がることを期待しているのでしょう。今後も継続していく流れになると思っており、独立系VCにとっては脅威でもあり、Web3の世界を共創していくべきパートナーとも言えます。

2022年の投資環境の変化や注目領域・プロダクトについて

Web3において注目が集まるのは、自律分散型組織であるDAO。2022年以降急速に盛り上がるのではないかと感じています。まだまだ環境が整備されていないので、今すぐDAO化することがメリットだとは言い難いですが、DAO向けのツールやノーコードのような周辺事業が充実していくのではないかと感じています。DAOが普及するとVCの現行モデルでは対応しきれないため、業界の変化に応じて我々もキャッチアップし、かたちを変えていかなければなりません。投資先にもDAO化を目指すスタートアップがおり、EXITのスキームを議論しています。

また、メタバースもバズワード化してきていますが、仮想空間での取引においてもDeFi、NFT、Wallet、DAOは切っても切り離せない存在になるのではないでしょうか。メタバース、eSports、クリエイターエコノミーなどは、Web3の文脈から盛り上がるのではないかと感じています。Axie Infinityなどのブロックチェーンゲームも盛り上がりを見せていますが、正直やってみてもまだあまりゲームとしては面白くはありません。ここに日本のIP活用やゲームクリエイターたちが集えば、日本にチャンスが巡ってくるのではと感じています。

Web3には、ガバナンスやプライバシー、スケーラビリティ、などさまざまな問題が山積みです。まさにインターネット黎明期のような状態に近いです。とくに、頭が柔らかい若い人たちにチャンスが多いマーケットだと感じています。例えば、スケーラビリティの課題を解決するようなL2(セカンドレイヤー)、プライバシーの問題を解決するゼロ知識証明などのプロトコルなど、続々と技術が生まれてきています。

それぞれのプロトコルが単体で完結するものではなく、コンポーザブルな(組み立てできる)ものであり、お互いが結合して新しいインターネットを創る、というイメージです。未成熟なドメインなので、Web3では全体をふかんしつつ、L1、L2、アプリケーション層への投資を積極的に頑張っていきたいです。ただ、中国では暗号通貨が全面禁止になったりと、法規制の影響は大きく、当たり前ですが無視できない存在です。この市場で挑戦するスタートアップは必ず法規制と向き合っていく必要があります。