頭をかかえる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

いつも仕事を先延ばしにした結果、締め切りギリギリになって焦ってしまう。そんな思いを抱えて生きている人は少なくないだろう。先延ばしから生まれる後悔とプレッシャー、ストレスを解消するには、行動あるのみだ。※本稿は、デイモン・ザハリアデス『「先延ばしグセ」が治る21の方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

行動を起こすと
勢いが生まれる

 先延ばしの要因はたくさんある。だが、課題を先延ばしにする最大の理由は、別のことのほうがすぐに欲求を満たしてくれるように思えるからだ。

 つまり、より重要な課題に取りかかれば、いつか恩恵をもたらすことがわかっているのに、私たちはすぐに欲求を満たしてくれそうなことを好むのである。言い換えると、何らかのことに取りかかれば、長い目で見ると利益のほうが大きいと理屈ではわかっているのに、すぐに満足が得られることを選んでしまうのだ。

 たとえば、将来のために貯金すべきだとわかっているのに、新車を購入し、すぐに満足を得ようとする。テスト勉強をすべきだとわかっているのに、友達と出かけて遊び、すぐに満足を得ようとする。ジムに行って運動すべきだとわかっているのに、テレビを見て、すぐに満足を得ようとする。

 将来的に恩恵を受けられることに取りかかるより、すぐに欲求を満たしたがる傾向を完全になおすことはできない。なぜならそれは人間の本性だからだ。しかし、この知識を生かして、先延ばし癖の改善のために自分を律することはできる。その秘訣は、行動を起こして、より早く恩恵を受けられるようにすることだ。

 退屈な課題(部屋の片づけ、トイレ掃除、報告書の作成など)を先延ばしにしたときのことを思い出そう。その課題はずっと悩みの種だったに違いない。具合の悪いことに、行動を起こすのを先延ばしにすればするほど、その悩みは大きくなったはずだ。

 そして、ついにその困難な課題に取りかかったとき、何が起きたか?それまで抱いていた不安感や嫌悪感――その大半は先延ばしによる罪悪感だ――は、たちまち消えたはずだ。しかも、いったん取りかかると、それを続けるのが容易になったに違いない。

 私の例を紹介しよう。

 著述家として生計を立てているが、いつも書くことを楽しんでいるとはかぎらない。本を書くのは一苦労だから、たいていそれを先延ばしにしてきた。

 ところがいったん最初の半ページを書くと、次の1、2ページ、さらに5ページはスイスイと書けるようになる。