アパレルとInstagramは相性がいいと言われますが、それは写真にバリエーションを付けられるからこそです。大切なのは自社ブランドとSNSとの相性の見極め。24hブラの場合、リツイートなど拡散力があるTwitterやTikTokとの相性が良かったんです。おかげで、今も月に1万円のマーケティング費用のみで売上を伸ばすことができています。

「バズる」から商品購入・ファン創出へつなげるための情報設計

大槻:昨今ではバズること自体が難しく、また話題になり続けることも簡単ではありません。24hブラは、そのあたりの工夫をどうしているんですか。

小島:情報設計をしっかりすることですね。でも、ブラジャーを投稿してもらうのはハードルが高い。そのため、24hブラはSNSにアップしたくなるようなラッピングにしています。

大槻:今も小島さんの個人アカウントでSNSを運用していますよね。24hブラの公式アカウントは使わないのでしょうか?

小島:公式アカウントの場合、発信内容が機械的になったり、リリース情報になったりしがちです。それに24hブラは私以外にスタッフがまだいないため、「中の人」の感じも出せない。それなら、私自身がやったほうがいいと思ったんです。生産者の顔が見えたほうが、顧客には安心していただけます。

大槻:海外ではインフルエンサーマーケティングが主流です。日本でも一時は話題でしたが、今では大々的すぎると「結局PRじゃないの」と受け取られることもあり、難しいですよね。

 

小島:大槻さんが言うように、今は情報が多すぎて「何を買えばいいのかわからない」状態にあると私も思っています。それにインフルエンサーと呼ばれる人たちより、フォロワー数が200人にも満たないマイクロインフルエンサーの発言のほうが重視されています。ユーザー生成コンテンツも、そういった人たちを中心につくられ、売上につながっていますね。顧客のリテラシーも上がっているんです。

また、ネット上ではお互いの顔が見えないので不信感も募りやすい。私としては、起業当初からお客様には「接客を直接受けているような感動や体験」を感じてもらうことを追求してきました。SNSとはいえ、コメントを返すときも「お客様個人」に対して接していますし、公式LINEも24時間以内に返信しています。

「ちょっと手を伸ばせば買える」プレミア感を強化したい

大槻:今後、より力を入れていきたいところはどこですか。

小島:今はまだ私1人で事業をしていることもあり、どうしても手作り感が出てしまいます。顧客の中には自分の声が反映されるところに喜びを感じる方もいらっしゃいます。ただ、顧客全員の声を拾い上げるには限界がある。それに、あまり情報を出しすぎたり、知られすぎたりするとサプライズが減ってしまいます。バランス感覚が難しいです。