WORK HEROでは、顧客に「サービス導入のトータルコストを、バックオフィス業務を内製した場合のコストの半分以下にする」ことを約束しているそうだ。さらにWORK HEROは「バックオフィスのAWSを目指している」と大坪氏は語る。急成長スタートアップが負う急拡大・急縮小時のバックオフィス要員雇用のリスクを、安定的に、拡張性あるかたちでWORK HEROが肩代わりして、提供していきたいという。

「その会社の特性や個性、本業に集中できるためのバックアップ体制を構築できるサービスとして、今、足元ではアーリーフェーズのスタートアップにターゲットを絞っています。しかし、スタートアップを顧客としているからには、IPO後までずっと伴走できるサービスでもあるべきと考えています」(大坪氏)

小規模企業向けBPOサービスは大手が手を出さない空白地帯

バックオフィス業務のSaaSが急増する中、それぞれの連携が取りづらくなり“不調和”が生じたときに、WORK HEROは「指揮者」としてそれらをつなげる役割を果たしていると大坪氏はいう。

「“コンテナオーケストレーション”と我々は呼んでいますが、それによって(各SaaSを)ERP的に利用しています。操作には人がやる部分も自動処理する部分もありますが、SaaSのデータやUIの細かい仕様、人の作業時間を分析し、その情報をもとに、よりROIの高い、安定したサービスになる部分の開発を進めています。初めは人力で対応する部分が多いのですが、どんどん“サイボーグ”化させていくというモデルです」(大坪氏)

市場規模については、国内の経理・労務とルーティンワークの人件費の合計で最大28兆円をTAM(Total Addressable Market)とし、初期市場規模(SAM:Serviceable Abailable Market)を140億円と見積もる。

大坪氏は「日本でもBPOが浸透し、市場参入のタイミングとしては良い時期だ」という。

「ただし今伸びているのは、大企業の利用です。経済産業省の調査によれば、我々がターゲットとしている従業員300人未満の企業では2割ほどしかBPOを活用していない。しかし、実際にBPOを利用した企業は規模にかかわらず、おおむね8割の企業が満足しています。小規模企業へのサービス提供は、従来の大手BPO事業者にとっては単価が見合わず、あまり進出しないホワイトスペースとなっているので、我々にはチャンスです」(大坪氏)