しかし「プレミアム」では、PS4/5では動作しないはずの初代PS~PS3やPSPのソフトをPS4/5ユーザー向けに提供するという。そのからくりはずばり、クラウドゲーミング技術の採用だ。公式サイトによると、PS3ソフト以外はダウンロードも可能。クラウドゲーミングに加えて、PS4/5上で動かすエミュレータソフトも併用されるのだろう。

クラウドゲーミング技術についての詳細は、本サイトの過去記事「【ゲームビジネストレンド2022】PCゲームの先にあるクラウドの可能性、“専用機”の存在意義の変化」を参照して欲しい。

クラウドゲーミングの仕組みを簡単に説明すると、ゲームのプログラムをPS4/5上で動かすのではなく、プログラムをSIEが用意したサーバ上で動かすというもの。ユーザーがコントローラーを操作すると、サーバ上のゲームが操作されたことになり、実行結果画面は動画として逐次ユーザーのPS4/5へと送信される。これにより、まるでPS4/5上でゲームが動いているかのように遊べるのだ。

PS2全盛期だった2005年頃には、当時のSCE(現SIE)社長だった久夛良木健氏が「PlayStationも4が出る頃にはクラウドゲーミング技術で遊ぶものになるだろう」とコメントしていた。だが、当時は回線速度の遅さやサーバー側のスペック不足も加わり、クラウドゲーミングで提供されたゲームを遊んでも「操作がワンテンポ遅れる」と、ゲーム好きから酷評されていた。

しかし、それから15年もの歳月が経過した今、クラウドゲーミングで動かしているかどうかは、プレイしただけでは判断しづらいレベルにまで到達している。「これはクラウドゲーミングで動かしている」というネガティブな先入観がなければ、何の問題もないクオリティを実現しているというのが筆者の評価だ。

このレベルに到達するまでの間には、SIEも「PS Now」という名称でPS4/5向けにクラウドゲーミングサービスを提供してきた(サービス開始は2015年)。これは1180円支払うと、PS3/4のソフトをクラウドゲーミングで遊べるというサービスだ。

ただし、PS Nowは対応タイトルがPS3/4に限られている。つまり最近のゲームが中心のため、このサービスを楽しんでいるという声はSNSではほとんど聞こえて来ない。かなりの技術と資本を投入している割に、原価に見合うだけのユーザー数を達成できていないのではないかというのが筆者の予想だ。