料金設定については、同じSIEのサブスクでも成功しているPS Plusというサービスがある一方で、ほとんど話題にならないPS Now。2つのサブスクに同時加入した場合の合計支払いは月額2000円近い金額になってしまうため、ユーザーに敬遠されがちだった。そこでSIEは両サブスクを統合し、「PS Plus」の追加プランとして統合する方法を選択したのだろう。両サービスを同時に利用した時の価格も月払いでは月額1550円だが、年払いにすれば1万250円と月額854円相当にまで下がる。

「プレミアム」プランは、サブスクによる売上総額を伸ばすばかりか、これまで話題に上りづらかったPS Nowにも脚光を当て、しかも過去に初代PSやPS2、PSPで遊んでいた層、つまり潜在顧客層にまで訴求できる、現在のSIE資産で可能なベストな新プランだと高く評価している。

クラウドゲーミング技術と、ゲームビジネスのこれから

クラウドゲーミング技術といえば、Googleは「Stadia」、Amazonは「Luna」という名称で参入済みだ。どちらもクラウドゲーミング技術を使い、手持ちのPCなどでゲームを遊び放題にするというサブスクプランを発表した。

しかしStadiaは2019年にアメリカやEUなど日本を除く14カ国でサービスを開始したものの加入者数が増えず、2021年にはStadiaオリジナルゲームの自社開発スタジオを閉鎖した。これは事実上の撤退と言っても過言ではない。一方、Lunaは2022年3月1日に米国限定でサービスを開始したものの、利用者の声はSNSなどであまり聞こえてこない。おそらく、過去に発売されたヒットゲームを定額制で遊べるというだけでは、利用を決意させるだけの理由に乏しいのだろう。つまり、現時点で成功しているクラウドゲーミングサービスは「ない」に等しい。

両社が失敗した原因は、大きく分けて2つ。1つ目はコアゲーマーは「クラウドゲーミング」に対する印象が悪く、魅力を感じていないこと。2つ目は、サービスの加入を決意させるだけの魅力を持った「専用タイトル」の不足だ。しかしオリジナルソフトの開発を開発するために中堅ソフトウェアメーカーを買収しようにも、有力なスタジオはMicrosoftとSIEの両社が吸収合併を急いでいる。仮に買収できたとしても、Google Stadiaの二の舞いになる可能性も低くはない。スクウェア・エニックスやカプコンといった大手メーカーに依頼するためには莫大な開発費が必要になるし、開発期間も1年や2年では済まないだろう。