サービスを開始した当初は“定性調査のDX”という要素が大きかったが、2020年に新型コロナウイルスの影響が拡大してからは、調査自体がZoomなどを活用してオンラインで実施されるようになっていった。

マインディアが企業ユーザーに評価されたのは、最初から定性調査という用途に絞って機能開発に取り組んでいた点にある。

たとえば調査の様子を見学している人の姿が消費者からは見えにくい仕様になっていたり、インタビューを担当する人と見学する人が会話をするためのチャット機能が備わっていたり。汎用的なサービスにはない“かゆいところに手が届く”機能をきっかけに、導入してもらえることが増えた。

用途を絞って機能を作り込むことで利用企業からの支持を集めた
用途を絞って機能を作り込むことで利用企業からの支持を集めた

また顧客の1社でもあった資生堂と共同で、録画データを蓄積することで社内の資産として活用できる機能なども開発。AI文字起こしなど関連する機能も加え、利便性を高めていった。

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事業の土台が整った現在は領域をさらに拡張するかたちで、C向けとB向けに複数のサービスを展開している。

B向けには創業時から手がける消費者ライブ動画サービスに加えて、EC上での消費者の購買行動を解析するデータサービス(Mineds for EC Data)をローンチ。資生堂ジャパンや江崎グリコ、トヨタコネクティッド、ライオン、メルカリ、Meta Platformsなどナショナルクライアントを中心に複数の大手企業で活用が進む。

「特にECに関する行動データや購買データは大手企業のニーズがものすごく高いです。オフラインであればPOSデータの活用などこれまでに培ってきた知見や仕組みがあるものの、この数年で一気に拡大したECに関しては手探りでやっている部分も多い。またユーザーのデータは外部のプラットフォームに蓄積されていて、それを統合的に分析するのが難しかったという課題もあります。本来見るべきだけれど、蓋をしてしまっていたようなデータを分析できるようになる。そのような点に価値を感じていただけています」(鈴木氏)

データ分析サービスのイメージ
 

マインディアのサービス上ではEC市場全体のトレンドやカテゴリ内でのブランド・SKU別のシェア、特定ECモール内での人気ストアランキング、消費者1人1人の特定カテゴリ内でのブランドスイッチやリピート率など多様なデータを把握できる。

個人のデータの扱いに対する規制が厳しくなってきている中で、Pintのユーザーから事前に承諾を得て直接取得した「ゼロパーティーデータ(個人が明示的な同意を持って提供するデータ)」である点が大きな特徴だ。