「そもそも無人型なので人件費がほとんどかからないことに加え、裏側の新規会員獲得に向けたマーケティング面でもデータなどを活用しながら、かなり効率よくやれています。自分たちはCRMや入退室管理のシステムも内製しているため、そのデータも分析しながらPDCAを回すことができているのが大きいです」(加藤氏)

加藤氏によると細かくセグメントを分けた上で、LINEなどを活用しながら集客をしているそう。データとデジタルツールを用いて効率的な集客ができる体制を整えていることも、LifeFitを運営していく上で欠かせないポイントだ。

また初期コストに関してもマシンを海外の事業者から直接仕入れることで、代理店経由で購入する場合と比べて安く抑えている。こうした構造のため、コンビニサイズやコインランドリーサイズの小規模型の店舗でも運営できるだけでなく、従来であれば既存の事業者が出店の難しかったエリアでサービスを展開できる可能性もある。

LifeCoachとしてもまずは年内にフランチャイズモデルで10〜20店舗の新規出店を計画しており、「6年で1000店舗」を目標に掲げているという。

利用者向けのアプリのイメージ
利用者向けのアプリのイメージ

利用者の8割は「ジム初心者や挫折者」

1号店のオープンから約半年。累計で数千人の利用者のうち、約8割は「そもそもジムを初めて利用する人や、過去に継続できなくてジムの利用をやめてしまっていた人」。残りの2割ほどが他のジムからの乗り換えだ。

加藤氏によると現時点では価格の面が大きい。普段からジムをセルフで使っているので、無人でもいいから少しでも安く使いたいというユーザーはLifeFitとの相性がいい。また1回500円で都度利用できることから、「月に1〜2回しか行かないのに数千円払い続けるのはもったいなくてジムをやめてしまった」ユーザーでも使いやすいという。

実際に1号店では定額プランと都度利用のユーザーが半分ずつほど。「あえてサブスクだけにしないことで、月に数回しかジムに行かない人にも使ってもらえます。そのため本当に二度と来なくなるという人は今のところほとんどいません」と加藤氏は説明する。

都度利用の場合でも手続きは「飲食店の券売機でチケットを買うようなイメージ」でアプリから30秒程度で完了するため、利用のたびに面倒な手続きが必要になるわけではなく、使いやすいのもポイントだ。

「今後フィットネスジムは、有人で質の高いサービスを提供する施設と、完全無人型で気軽に使える施設の2つの方向性に進んでいくと考えています。自分たちとしては後者をしっかりと狙っていきたい。日本でも24時間型のジムが増えてきていますが、アメリカなどと比べるとまだまだ(ジムの)供給量が少ないです。ここを増やしていくことで、人々の生活を豊かにしていくことができればと考えています」(加藤氏)