Meta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏 Metaのプレスキットより
Meta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏 Metaのプレスキットより

2021年10月、社名を「Facebook」から「Meta」に変更し、年間で100億ドル(約1.5兆円)をメタバースに投資していくことを高々と宣言したマーク・ザッカーバーグ氏。だが、Metaの株式0.1%を保有する米投資会社Altimeter Capitalは、メタバース領域への巨額投資に対して懐疑的な姿勢だ。

Altimeter Capitalの創業者、ブラッド・ガースナー氏は米国時間10月24日、ザッカーバーグ氏に宛てた書簡をネット上に公開。Metaがメタバース領域への注力によって「投資家の信頼を失った」とつづった。

ガースナー氏はMetaのメタバース領域での巨額投資について「未知の未来への1000億ドル(約15兆円)以上の投資は、シリコンバレーの基準からしても超巨大で恐ろしい」と指摘。その上で、少なくとも20%の人員削減と年間最低50億ドル(約7447億円)の設備投資の削減、メタバース投資を年間50億ドル以下に制限という、3つの提案を突きつけた。

Metaの株価は年初と比べて約60%と大きく下落している。ガースナー氏は前述3つの提案を受け入れることで、Metaのフリーキャッシュフローは400億ドル規模へと倍増し、株価も改善されると述べている。

「人々はメタバースの意味するところさえ理解できずに混乱しています」とまで言うガースナー氏。では、メタバースでなければどの領域に力を注ぐべきなのか。同氏は「未来はAIにあると信じています」という。

「実際、拡張された人工知能は、インターネットそのものよりも経済的な生産性を高める可能性があると信じています。そして、ほとんどの企業がAIを収益化するのに苦労する一方で、MetaはAIを活用して既存のすべての製品をより良くすることができる、非常に有利な立場にあると信じています」

「また、MetaのAIへの投資は、何十億もの顧客にクロスセルできるエキサイティングで重要な新製品につながると信じています。我々はAIのカンブリア紀(動物が爆発的に数や種類を増やした地質時代)を目撃しており、Metaは間違いなくその未来を発明し、収益化するのに適した位置にいるでしょう」(ガースナー氏)

ガースナー氏の書簡は米国時間10月26日に発表を控えるMetaの2022年第3四半期(7~9月)決算を目前に公開された。