汎用デバイスから取得したデータを活用し都市をスマートに
前田氏によると、数年間の研究を通じてすでに「何百万という単位で道路の損傷画像データを保有していること」が1つの強み。今後は複数の自治体に使ってもらうことでデータを蓄積し、コアとなる技術を磨いていく。
直近では2020年度の未踏アドバンスト事業にも採択され、コアとなる道路損傷の検出アルゴリズムのアップデートに取り組んでいる。まだプロダクトには実装されていないが、危険な損傷を検出するだけでなく、路線ごとの危険度やひび割れ率を定量的に診断できる仕組みの実現を目指しているのだという。
「運用してみてわかったのが、損傷を見つけた次の段階で『結局どの道路に対してどのような対応をするべきか』という話に必ずなることです。損傷の危険度や優先度などを数値で評価できるようになると、それを基に修繕計画を立てられるようになるので、担当者のニーズも大きい。そういった技術を磨きながら、現場の業務効率化やコスト削減をサポートしつつ模倣が困難な仕組みを作っていきます」(前田氏)
今回の資金調達もそのための人材採用が主な目的。まずは道路点検の領域に注力するが、ゆくゆくはそこで培った技術やソリューションを、他の領域にも転用する形で複数のプロダクトを展開していく計画だ。
「会社としてやりたいのは、都市空間のデジタルツインの構築によって、スマートな都市経営を実現すること。ドラレコやスマホなどの汎用的なデバイスに搭載されるセンサーから取得されたデータとディープラーニングなどの技術を活用して都市空間を再現していきたいと考えています。道路損傷検出サービスはその中核を成す1サービスであり、同じような他の領域にも事業を広げていく方針です」(前田氏)