「VAZ時代は、自分が考えていたことを何も言語化できていませんでした。同じ過ちを繰り返さないよう、Pienでは経営方針やカルチャーのほか『なぜTikTokで勝負するのか』を徹底的に言語化しています。想定できるリスクに対応するための回避パターンもいくつか作りました。改めて、言語化することの大事さを痛感しています」(森氏)

“誰がバズるかわからない”TikTokで感じた可能性

YouTubeではなく、今度はTikTokで勝負することにした森氏。両者の大きな違いは「レコメンドの仕組み」にある。基本的にYouTuberは自分がチャンネル登録(フォロー)しているユーザーの投稿がファーストビューに表示される。ここ数年でYouTuberが“稼げる職業”として注目を集めたことからYouTubeでの配信者の数が急増。「視聴者の可処分時間」を遥かに超えるようになり、配信者と視聴者という需給のバランスが崩れてしまった。

その結果、「有象無象のYouTuberの中から、自分の好きな動画を見つける」ことの難易度は高くなり、YouTubeから新しいスターが生まれにくくなったのだ。そのため、YouTubeはすでに人気を獲得しているYouTuberがますます人気を獲得していく市場になっている。

一方、TikTokはフィード設計が「フォロー」でなく「おすすめ(レコメンド)」が中心。そして、動画のほとんどが30秒以下であることがYouTubeとの最大の違いとなっている。

TikTokは高度なアルゴリズムをもとにスクロールするだけで自分の好みの動画がレコメンドされていく設計となっているため、視聴者は自分好みの動画を見つけやすく、一方の配信者は多くの人に見てもらえる可能性YouTubeよりも高くなる。

「『フォロワー数が多いからといって再生数が伸びるわけじゃない』『誰がバズるかわからない』というところが、TikTokの最大の魅力です。多くのSNSがフォローしているものを積極的に表示しますが、TikTokはおすすめページだけで成立している。おすすめの動画を眺めているだけでどんどん時間が“溶けていく”。これは『フォロワー中心』だったSNSの常識をひっくり返した証拠でもあります。最近では、TikTokフォロワー数日本一のじゅんやさんがYouTubeチャンネルを開設するといったように、TikTokで人気を得てからYouTubeに進出するといった動きも出てきています」(森氏)

PienはYouTubeチャンネル登録者数100万人越えのDJユニット「Repezen Foxx」と戦略的パートナーシップを提携。他にも10社近くのクライアントのTiktokマーケティングパートナーとして、事業成長にコミットする体制を整えている。