「MasterClassの日本版はサービスのポジショニングとしては、国内のオンラインサービスと差別化が図れるとは思いました。ただ、実際にサービスを自分が使ってみたいかと言うと、正直『使ってみたい』とは思えなかったんです」(疋田氏)

MasterClassの日本版も検討するかたわら、疋田氏が同時並行で検討していた事業アイデアが現在のClassmateだった。疋田氏の祖母と母親はお稽古ごとの先生をやっているが、コロナ禍で開催する教室の数が減少した。そうした2人の姿を見ていた疋田氏は「地元の習い事やお稽古ごとをオンラインに置き換えられないか」と考え始めた。

「また私自身が母親になり、子どもが私のもとを巣立っていった後に自分がどんな趣味や習い事をやりたいか考えたときに、なかなか思いつかなかったんです。それで私が50歳になったときに学びたいと思える場所も作りたいと思いました。コロナ禍で孤独を抱える人も増えているからこそ、新しい居場所を作ることは価値があると思ったんです」(疋田氏)

そうした考えから、疋田氏が立ち上げたClassmateはメインのターゲット層を「子育てが終わって、お金や自分の時間にゆとりがある層(45~69歳)」に設定している。「私の母はオンラインで英会話レッスンを受けたり、Zoom飲み会をしたり、メルカリやCreemaを使ってものを売り買いしたりしているんです。その姿を見て、すでに40〜50代の人たちはデジタルツールへの抵抗感がなくなってきていると思いました。それなら、習い事をオンラインでやってもいけると思いました」(疋田氏)

“母親世代”がターゲットのオンライン版「カルチャーセンター」、元動画メディア編集長が起業
 

オンラインのカルチャーセンターであえて「アナログな教材」をつくる理由

前述のとおり、Classmateでは「コミュニケーション理論」と「はじめての株・投資」、「ファッションコーディネート」という3つのコースを提供している。コミュニケーション理論はAmazonの書籍ランキングで“人間関係”や“コミュニケーション”に関する書籍が上位にランクインしていることからニーズが高いと判断した。

また、株・投資に関しては事前にヒアリングをしたところ、資産運用の興味関心が高いことも見えてきたため、最初のコースに入れることにしたとのこと。

「この2つに関しては(資格講座の)ユーキャンや(教えたい人と学びたい人をマッチングする)ストリートアカデミーなどでも人気上位のコースになっているので、一定の需要は見込めています。ただ、ファッションコーディネートに関しては講座自体は少ないのですが、テレビのワイドショーなどでコーディネートチェックの企画は数多くやっており、40〜50代の人はよく見ていると思うんです」