「本当にニーズが大きく、市場が急速に拡大していることを実感しています。正しいやり方を選ぶことができれば、確実に大きな事業や会社が作れる。本気でユニコーンも狙えると考えています」(近澤氏)

実際に国内外でもプレーヤーの数は増え、その勢いは増している。noteなどが導入し、日本展開にも力を入れる米mablなど、グローバルでは累計で数十億円規模の資金を集める企業が続出。日本でもAutifyと同じくノーコード×ソフトウェアテストの自動化に取り組むTRIDENTが7月に3億円の資金調達を実施した。

ただ、市場自体が新しいからこそ「自分たちより少し先を進んでいる企業はいるものの、圧倒的な勝者はまだ存在しないのがポイント」(近澤氏)だという。

「アプローチは異なるものの(ブラウザテストをサポートする)BrowserStackが6月に40億ドルの評価額で資金調達をしたのは大きな出来事だったと思います。米国の投資家と話をしていても、これまでテスト自動化はそこまでホットな市場であるとは捉えられていませんでした。それが今、急速に変わり始めています」(近澤氏)

Autifyでは今回集めた資金を活用して組織体制を強化しながら、グローバル展開とさらなるプロダクト拡充に力を入れる計画だ。2023年末には海外売上比率50%を目指しており、今回の調達でもそれを見据え、海外VCを含めた株主構成とした。

プロダクトについては大きく2つの軸で強化していく方針。1つは対応できるアプリーケーションのタイプを増やすという観点で、今回新たにローンチしたAutify for Mobileを筆頭に、モバイルアプリや2D・3Dのゲーム、AR/VRなど守備範囲を広げていく考えだ。

もう1つの軸は“ソフトウェアの開発ライフサイクル”において、テストのフェーズ以外にも拡張していくという観点。たとえば開発の早い段階からテストを組み込むことで、サービスのリリース速度を早める。同時にリリースした後のサービスの最適化についてもサポートする。

「シフトレフト」や「シフトライト」と言われるように、テストフェーズを軸にその前段階と後段階にも徐々にプロダクトを拡張することで、開発プロセス全体を包括的に後押ししていきたいという。

「もともと起業志向で世界で通用するものを作りたいという気持ちが強く、その領域を15年ほどずっと探していました。(テスト自動化は)もはや僕のためにあるんじゃないかと思ってしまうくらい、やりがいも感じているし、ここでなら勝てるという手応えもある。マーケットにも確実に受け入れられてきているタイミングだからこそ、この市場を本気で獲りにいきます」(近澤氏)