2018年内には正式に契約を獲得し、翌年3月にAutifyのクローズドベータ版をローンチ。メディアや既存ユーザーの口コミなどを介してインバウンドで問い合わせが増え、導入社数も拡大していった。

「誰でも使えるサービス」であることが重要

近澤氏は初めからグローバル展開を見据えてはいたものの、これまでは意図的に日本市場にかなりのリソースを割いてきたという。

「日本は諸外国と比較してもテスト自動化の取り組みが遅れています。その一方でソフトウェア企業は増えていて、間違いなくニーズも高まっている。コンペティターも少なく確実に取れる市場だと感じましたし、プロダクトが成熟していない状態でも(顧客の課題を解決しながら)一緒に事業を育てていけると思いました。まずは日本に注力し、準備が整った段階でグローバルにいくのが正しい戦略だと考えたんです」(近澤氏)

Autifyが日本を中心に300社を超える顧客を獲得できたのは、当初からこだわってきた「ノーコードで、誰でも使えるサービス」であったことも大きい。

テスト自動化サービスは国内外でも増えているものの、近澤氏によるとその中にはエンジニア向けに開発されているものも多いという。一方でAutifyが重視したのは「レスコードではなく、ノーコード」。解決したい課題の1つが自動化を牽引するエンジニアの不足でもあるため、コードが書けないユーザーでも使えるようにすることは必須だった。

現在Autifyを使っているユーザーを職種別に大雑把に分けると、半分くらいがエンジニアであり、次に多いのがQA部門の担当者で全体の3〜4割ほど。そのほかがプロダクトマネジャーやビジネス部門のメンバーになるという。

「(コードを書ける人と書けない人の)両者に使われることを意識して作りました。特にある程度の組織規模になるとQA部門が開設されるのですが、その中にはコードを書けない人もいます。その人たちにも使いこなしてもらえることが大事である反面、QA担当者だけではなくエンジニアにとっても使いやすい必要がある。実際に顧客からも『誰にとっても使いやすい』という点を評価いただくことが多いです」(近澤氏)

正しいアプローチができれば、確実に大きな事業を作れる

Autifyの経営陣
Autifyの経営陣

マーケットのサイズが大きく、日本でも米国でもシンガポールでも同じような課題が存在する。その上ソフトウェア産業の拡大に伴ってこれから自動化のニーズが高まることが予想され、自身のエンジニアとしてのバックグラウンドや知見も存分に活かせる──。

近澤氏はAutifyをローンチした当初から手応えを感じていたと話すが、この2年半でそれはさらに強くなっているという。