「ノーコード」と「AIによるメンテナンス」でテスト自動化を後押し

近年はアジャイル開発の普及によって、ソフトウェア開発のサイクルがどんどん短くなってきている。開発サイクルが早くなればテストの頻度も増えるため、従来主流となっていた人手に頼る方法では時間がかかり、開発のボトルネックにもなりかねない。

だからこそ、打開策としてテストの自動化へのニーズが増してきている。

もっとも、この自動化には2つの課題が存在していた。1つは自動化を担う人材の不足。一般的にテストの自動化は、エンジニアがテストコードを書いて対応する。ただし多くの企業はサービス開発に貴重なエンジニアの力を使いたいため、テスト自動化に彼ら彼女らのリソースを用いることが難しい。

そしてもう1つネックになるのが、メンテナンスコストだ。せっかく作ったテストコードも、ソフトウェアのUIや仕様が変わるとすぐに動かなくなってしまう。その度に修復する作業が必要になり、この負担が大きいのだ。

Autifyではこの課題を「ノーコード」と「AIによるメンテナンス」という切り口で解決する。

Autifyのテストシナリオ作成画面
Autifyのテストシナリオ作成画面。ノーコードでシナリオを作ることが可能

冒頭で触れた通りAufityを使えばコードを書かずにテストシナリオを作成できるため、エンジニアでなくてもテストの自動化ができる。またAIがリリースの度に変更されるUIの変化をモニタリングし、その影響を受けるテストシナリオを自動で書き換えるため、メンテナンス作業の手間がない。

シナリオ作成方法は簡単で、テストをしたいサイトのURLをAufity上に入力し、実際にブラウザを操作しながら一連の流れを記録するだけ。それが自動テストのシナリオとして保存され、さまざまなブラウザやデバイスで動かすことができる。

ブラウザやデバイスはクラウド上に用意されているので、実際にインストールしたり、複数の端末を管理する必要もない。

IT予算の3分の1、世界1.3兆ドル“ソフトウェアテスト自動化”市場ねらうAutifyが11億円調達
複数のブラウザやデバイスごとにテストを実行することもできる
テスト結果の画面
テスト結果の画面

手動で行ってきたE2Eテスト(End to End:ユーザーインターフェースのテスト)を自動化したことで実際に「40時間以上の時間短縮」や「年間600万円以上のコストの削減」に成功した事例も生まれている。現在は小規模なスタートアップからディー・エヌ・エーのようなメガベンチャーやエンタープライズ企業まで、IT業界を中心に300社以上に導入されるまでになった。

顧客のバーニングニーズを見つけたことで事業が好転

テスト自動化サービスは、グローバルで見てもここ数年で一気に盛り上がってきた領域だ。Autifyも創業自体は2016年だが(当時の社名はLocki)、当初からこの領域に目をつけていたわけではない。