西氏:1年ほど前はスタートアップや大企業内のチームなど、スモールチームによるNotionの活用が目立ちました。今ではより大きなチームがNotionを使っている状況です。

例えばラクスルやプレイドといった上場スタートアップもNotionを使っています。そして、エンタープライズ企業のデジタルトランスメーション(DX)を担う部門やイノベーションチーム、子会社などによるNotionの導入も進んでいます。一例として、SOMPOグループのデジタル事業子会社、SOMPO Light VortexがNotionを使っています。

ザオ氏:このトレンドは米国や欧州でも同様です。エンタープライズ企業の導入が進んでおり、彼らからの収益が増えているため、個人のユーザーや学生には無料で提供できるようになります。

────日本でのビジネス戦略は。日本市場の重要性についてあらためて教えてください。また10月に調達した資金の使途は。

ザオ氏:私たちにとってエンタープライズ企業の獲得は非常に重要です。エンタープライズ企業から収益を得るのが私たちのビジネスモデルですし、ビジネスが抱えている細かな課題を網羅的に解決していくために、Notionは存在しているのです。

日本は米国に次ぎ世界で2番目に大きいエンタープライズ市場。私たちにとって非常に重要な市場です。ですが、言語の壁が非常に大きい市場でもあります。そのため、サポート体制を含めて完璧を追求し、準備を進めてきました。

西氏:エンタープライズ企業への導入を進める上で、日本語化は非常に大きなインパクトを持つと考えています。今後もエンタープライズ企業からのフィードバックをもとに改善を進めていきます。調達した資金はプロダクト開発や米国外での体制強化にあてます。

──とはいえ、エンタープライズ企業の情報管理ツールとしてはGoogleの「G Suite」やMicrosoftの「Microsoft 365」といった選択肢もあります。Notionの勝算は。

ザオ氏:私たちはスタートアップなどの急成長中の企業が情報管理においてどのツールを使っているかを常にチェックしています。日本においては、40〜50%のスタートアップがNotionを導入しています。米国では(アクセラレータープログラムを運営する)Y Combinatorに参加するスタートアップの半数以上がNotionを活用しています。Google ドキュメントやMicrosoft 365は見向きもされていません。