サービスの開発に至っては大量の児童書を読み込み、独自のデータベースを構築した
サービスの開発に至っては大量の児童書を読み込み、独自のデータベースを構築した

読書を科学し、再現性のあるオンライン読書教育の実現目指す 

自分たちのアイデアに手応えをつかめたため、2020年4月にYondemyを立ち上げ、本格的にサービスの開発を開始。12月のローンチまでは創業メンバー3人で図書館に通い詰め、200〜300冊分の児童書データを用意した。

2〜3日おきに図書館に行っては大量の児童書を借りていたので「周りから見れば怪しいグループだったかもしれません」と笹沼氏は当時を振り返る。

現在はチームメンバーも増え、児童書のデータは1000冊を超えた。今後も児童書の量を拡充するほか、読む前後の体験のアップデートも計画している。

笹沼氏(写真右)とCTOの武川聖宗氏
笹沼氏(写真右)とCTOの武川聖宗氏(写真左)

たとえば「コミュニティ」は強化ポイントの1つ。何かに取り組む際、仲間がいれば熱中度はさらに上がる。同じクラスに本好きな子どもがいなくても、ヨンデミーオンラインに来れば“読書で”仲間と繋がれる。そのようなコミュニティを作っていきたいという。

近年はYouTubeやTikTok、スマホゲームなど魅力的なコンテンツが増え、小学生の1日あたりのインターネット時間も増加傾向にある。一方で「子どもの読書離れ」が進み、社会課題とされている。笹沼氏たちが目指すのは、ヨンデミーオンラインをこの課題の解決策として広げていくことだ。

上述したとおりサービスとしてはまだ始まったばかりの状態であり、ビジネスの規模としても現時点では小さい。ただデータやテクノロジーの活用によって「読書を科学」し、再現性のあるオンライン読書教育を実現できれば、日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届けられる可能性もある。

「本が読めればなんでも学ぶことができます。英語もプログラミングもビジネスもアートも、全て本に書いてあります。読書という学びの手段を譲り渡すことで、子どもたちが自分の幸せのために必要なことを、必要なときに不自由なく学べるようにもなる。そんな子どもたちの将来の可能性を最大限に広げる教育を実現していきたいです」(笹沼氏)