2021年10月の博報堂による発表によれば、TikTokの国内ユーザーの平均年齢は34歳を超えており、平均年齢は年々上昇しているとのこと。それに伴い、コンテンツのトレンドにも変化が起きている。かつてはダンス動画などが主流だったが、今では日常生活の知恵になる実用的なハウツー動画や、動画で生活の日記をつける「Vlog」など、さまざまな種類のコンテンツが注目を集めている。

さらに動画にはYouTubeさながらの文字入りテロップが流れ、音声のナレーションが付くなど、編集方法も多様化している。

結果として、たった数十秒の動画に対する情報量が、格段に上がっていることになる。その上、動画はどれもちょっとしたスキマ時間に情報を取り入れられる数十秒の尺。現在のTikTokは、立派な「情報収集ツール」として用いられるようになっているのだ。

正確なアルゴリズムで見る動画だから、“自分ゴト化”しやすい

次に、TikTokの特徴のひとつでもある「動画アルゴリズムの正確性」によって、動画内に出てくる商品を"自分ゴト化”しやすい点が考えられる。

TikTokは、基本的には動画を“見させる”力が強いSNSだ。例えば、アプリを開いた瞬間に、自分の過去の閲覧履歴などをベースにTikTok側が勝手に選んできた、その人が“好きであろう”動画が全画面で流れるようになっている。そして、そこに流れる動画は、自分と同じような属性を持つユーザーのデータからなるアルゴリズムをもとに表示される。

そのため、表示された動画に興味を持つ確率が高くなる。ユーザーはアプリを開いた瞬間から、自分が好きな動画を永遠に見続けられるようになっているのだ。

特にZ世代にとっては、TikTokには比較的若く、自分と近しい年齢の一般人ユーザーが多い。属性が似たユーザーが集まった結果、動画のアルゴリズムはより強固に、正確に表示されるようになり、商品の購入検討の際はあたかも「自分の友達に商品やサービスを使った感想を聞く」ような感覚を持つことになるのだ。

そうしたプラットフォームでは、他のSNSで活躍する自分の世界とは遠いインフルエンサーや芸能人よりもさらに、コンテンツが“自分ゴト化”しやすくなる。彼ら彼女らが使っているものや愛用しているものを実際に自分が利用するシーンが、動画という媒体によってさらに想像しやすくなるからこそ、実際の購買へのアクションにもつながりやすいと推測する。

meme(ミーム)が生む拡散性の高さ

ユーザー同士が真似をしあって広めていくSNS上のトレンド「meme(ミーム)」は、新たなトレンドや消費活動を生み出すきっかけにもなる。TikTokはmemeが生まれやすいプラットフォームだと言える。それがTikTok売れにもつながっている。