米景気・インフレ・金利「下降サイクル」ようやく到来か、生成AI相場の投資戦略Photo:PIXTA

11月に期待していた国の債券高と株高は、期待を大きく上回るラリーになった。出来過ぎ相場を促したFRBのハト派スタンス、景気・インフレ指標の陰り、10月後半の総悲観相場の反動は、それぞれに今後も揺らぎがあるとみて、慎重に構えている。3~6カ月かけて、金利低下からの株高、そして株安への潜在的リスクを見極める必要がある。今後、生成AI(人工知能)テーマを踏まえて、投資家としてどう臨むべきかを論じる。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

11月は出来過ぎな大相場も
持続性は冷静に精査が必要

 11月からと期待した米債券金利低下(価格上昇)、それに伴う株価反発は、出来過ぎなくらいの大相場になった。おかげで、数カ月にわたる債券安と株安のダブルでダメージを被ってきたプロ投資家も、起死回生の1カ月となった。

 気を良くした市場では、相場上昇を追認して、早々に「年末高」予想がはやされもした。しかし、10月後半には、米10年国債金利が5%台に上昇し、主要株式指数は8月の下値を割り込み、弱気相場入りへの恐怖におののいていたことを思い返してほしい。

 相場下落時には追認して弱気論調に傾くのが、相場の常である。要は、予想と言いながら、その時その時の相場を延長しているにすぎない。

 そもそも「出来過ぎ」な相場反発は、政策イベントと指標と相場地合いの、非常に好都合な巡り合わせによってもたらされた。相場の持続性は、そうした外部要因のこれからと、相場自体に内在する波動(上がれば下がる)リズムを冷静に踏まえて精査する必要がある。

 次ページ以降、これまでの振り返りも含めて検証していく。