恒常的需要増、自律的成長には
供給力の強化が必要
政府は、「デフレ完全脱却」を掲げた事業規模37.4兆円の総合経済対策を閣議決定し、それを内容とした補正予算(国の一般会計の歳出追加額は13.1兆円)が11月末、国会で成立した。
経済対策に関しては、その内容よりも規模感がしばしば論争になる。その際、よく聞かれるのが、「国内総生産(GDP)の需給ギャップを景気対策で埋める必要がある」という主張だ。
だが対策で一時的な需要を人為的につくっても、恒常的な需要創出につながらないとしたら、それは供給側に課題がある。ニーズや魅力がない財・サービスは価格をどれだけ下げたとしても大して売れない。
経済を構造的・長期的な観点で捉えれば、需要不足というより、実現した需要が経済の実力であって供給力が脆弱ということだ。
経済の供給側が弱々しいという問題があるときに、マクロ的な需給ギャップを埋めるという発想で財政支出を注入し続ければ、政府依存の生産体制が定着してしまう。競争力や成長性の乏しい生産力を政府が長期間支えていては、自律的な成長はいつまでたっても実現しない。
日本経済の最重要課題は、供給力強化によって潜在的GDPを引き上げることだ。
実際、日本の生産年齢人口や機械設備などの資本ストックはG7の中で“老朽化”が際立っている。