——見方を変えれば「自分ができること」をきちんと評価してくれるかどうかが会社選びの重要な基準になるともいえますね。
その通りです。今できることで一生懸命に貢献していくうちに、いつかそれが「自分がやりたかったこと」につながるかもしれないし、できることが「やりたいこと」になっていくかもしれません。
まず「できること」に目を向ける。そしてそれを認めてくれる会社を選ぶことが、後のキャリア形成を有意義なものにするために大切な考え方の一つだと思います。
やり続けていれば
スキルも知識も身に付くもの
——星野代表ご自身も、そうした経験をお持ちなのですか。
そうですね。企業のトップとはいえ、会社経営は自分一人ではなくチームで行っているので、当然ながら「自分ができること」をやらざるを得なくなります。
そもそも私は、チームビルディングや組織論の分野が自分の強みだと思っていました。ところがこの家業(星野リゾート)を引き継いだことで、何よりもまず売り上げを意識しなければいけなくなり、そのためにはマーケティングや営業の仕事を中心に取り組まざるを得ませんでした。
やりたい仕事ではないけれど、やるしかなかったんですね。しかしやり続けていれば、自然と知識もスキルも身についてきます。スキルが上がれば、その仕事でますます結果が出るようになる。今や、マーケティングと営業は私が最も得意とする専門分野になりました。
今でも、そんなに好きな仕事ではないのですが(笑)、「できること」を積み重ねたことで得たスキルは、私の大きな武器になっています。