12月FOMCで「24年利下げ」の議論
日銀は金融政策正常化に可能性
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、12月13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で、2022年から始めた利上げサイクルが終了したことを示唆するとともに、FOMCで利下げの議論を行ったと述べた。
会見後に、米長期金利は一気に10年で4%を割り込む水準まで低下し、短中期金利市場では、来年3月から利下げが開始され、1年後までに150bp(=1.5%)、2年後までにおおむね225bpの利下げが実施されることを瞬時に織り込んでしまった。
市場の織り込み幅は、FRBが今回のFOMCで示した金利予測、いわゆるドットチャートでの24年末までに75bp、25年末までに175bpという利下げ幅より大きい。
ただ、1980年代以降、米国が経験した5回の景気後退局面での平均利下げ幅は600bpに達しており、それとの比較では、市場も利下げをまだ景気後退と結び付けて見ているわけではないようだ。
市場も政策当局も先行きについては、景気後退ではないがインフレ抑制のために引き上げ過ぎた政策金利を中立的な水準に戻すという政策経路を想定している。要するに、「ソフトランディング」のシナリオだ。
この見方が正しいのかどうかは、24年の実際の米国経済の動きを見ていく中で明らかになるだろうが、現在が米国の金融政策上の何らかの転換点に差し掛かっているのだとすれば、米国外への波及も視野に入れる必要がある。特に為替相場には少なからぬ影響が及ぶ可能性があるだろう。
18~19日の金融政策決定会合で「緩和維持」を決めた日本銀行だが、24年には金融政策正常化に踏み出すと予想され、日米の金融政策の方向が逆向きになる可能性が高いだけに円ドル相場への影響は避けられないだろう。