欧州の“支援疲れ”などが目立ち始めたロシア・ウクライナ戦争や台湾統一に向けた姿勢を崩さない中国など、国際情勢は緊迫の中にあるが、その趨勢のほとんどが2024年11月の米国大統領選の結果に左右される。共和党候補としての選出が濃厚なトランプ氏が大統領に返り咲けば、世界が再び混乱の渦に巻き込まれることは必至だ。特集『総予測2024』の本稿では、そのシナリオを大図解とともに解説しよう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
ウクライナ支援、ガザ紛争、台湾情勢の行方は
「もしトラ」で世界秩序は激変
「もしもドナルド・トランプが大統領になったら」――。ダイヤモンド社発行のベストセラーのタイトルをもじった、そんなフレーズがちまたで流行したのが、2016年のことだった。米国では当時、民主党のヒラリー・クリントン氏と共和党のトランプ氏が大統領の座を争っていた。
そして、当初の下馬評を覆して最終的に大統領に当選したのはトランプ氏の方だった。トランプ氏はその後、米国第一主義の下に保護主義的な政策の乱発や同盟軽視の姿勢を見せるなど、“予測できない言動”の数々で世界情勢を混乱の中に陥れてきたことは記憶に新しい。
その“衝撃”が再来しようとしている。
24年11月に控える米国大統領選挙で、民主党のジョー・バイデン大統領と共和党のトランプ氏の“一騎打ち”が実現する公算が大きくなっているのだ。しかも、勝敗の鍵を握る激戦州のうち5州ではバイデン大統領よりもトランプ氏が支持率をリードしている世論調査もあり、両者の決戦を経てトランプ氏の返り咲きが現実的なシナリオとして認識されつつある。
トランプ氏復活の暁には、世界情勢が再び根底から揺るがされることは必至だ。
その最たるものが、ロシア・ウクライナ戦争だ。
次ページでは、トランプ氏が大統領選に勝利した場合、ウクライナ戦争にどのような影響が起きるのかを大図解と共に解説する。また、トランプ氏復活の影響は、ウクライナ戦争だけにとどまらない。台湾統一などに執着する中国などに対しては、どのような影響があるのだろうか。詳しく紐解いていく。