ウクライナ支援予算、上院審議難航の陰で
移民流入の規制厳格化問題
米国では、ウクライナへの追加軍事支援に関する議会審議が難航している。
民主党のバイデン政権は、ウクライナ支援などのために総額で1000億ドルを超える補正予算を提案しているが、共和党が多数を占める米上院は12月6日にその審議を進める動議を否決した。主力である米国からの支援が立ち行かなくなれば、ウクライナにとって打撃となるだけでなく、他国による支援も勢いを失いかねない。
上院が動議を否決した当日、バイデン大統領は、「われわれがウクライナを支援しなければ、世界はどうするだろうか。今、ウクライナを支援している日本はいったいどうするだろうか」などと述べ、ウクライナ支援の審議を阻む共和党を厳しく批判した。
バイデン政権は、年内にもウクライナ支援の財源が枯渇すると警告しており、12月12日にはウクライナのゼレンスキー大統領が急きょ訪米し、バイデン大統領や米議会指導部との会談を行うなど、瀬戸際の工作が繰り広げられている。
このウクライナ支援の審議難航の陰には、移民流入規制厳格化を巡る問題の急浮上がある。ウクライナ支援の行方に負けず劣らず、米大統領選やさらに米経済の成長を大きく左右する問題だ。