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「今年は売り上げ目標を達成できるよう、チーム一丸となって頑張ろう」仕事始めの日、社員にやる気を出してもらうために開いた新年会で、社員同士がつかみ合いのケンカに……一人はケガをしてしまった。「会社の恥だ!」と怒った社長は、2人に自宅謹慎を命じると言い出した。就業規則には自宅謹慎ではなく「出勤停止」の項目があるのだが、自宅謹慎と出勤停止はどう違う?そもそも新年会で酔った社員がケンカをしたからといって、懲戒処分は厳しすぎるのでは……?(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
 通信機器の販売会社。従業員数50名。営業課のメンバーは総勢31名で、課長の他地域ごとに5つのチームに分けられ、それぞれ主任1名とチーム員5名で構成されている。12月29日から1月3日まで年末年始休暇だった。

<登場人物>
A:営業課長でCとDの上司。40歳。
B:甲社の社長。
C:営業主任で30歳。
D:Cの後輩で同じチームに所属している。28歳。
E:甲社の顧問社労士

仕事始めの日、
社員全員が今年の抱負を話すことに

 1月4日、出勤初日の課内朝礼で、A課長は集まったメンバー全員に早くも檄を飛ばした。

「みなさん、明けましておめでとう。昨年は新たな大口顧客を3件獲得したにもかかわらず、営業課全体の売り上げ目標には及びませんでした。今年こそは目標を達成できるよう、全員が一丸となって頑張りましょう!

 今日が仕事始めですが、取引先はほとんどが正月休みで活動できません。そこで11時で仕事を終了し、決起の意味を込めて午後から新年会を開きます。会場は昨年の忘年会と同じ海鮮居酒屋を予約しているので、参加希望者は11時になったら店に移動してください。今回は特別にB社長が参加するので、みんなの前で1人ずつ仕事に対する昨年の反省と今年の抱負を話してもらいます」

 11時30分、B社長の乾杯の合図で新年会が始まった。20名の参加者は1人1分程度のスピーチを終えると、お互いに雑談しながら酒を酌み交わし、料理に舌鼓を打った。

 B社長は機嫌よく、A課長のグラスにビールを注いだ。

「いやーっ、昨年は大口の新規取引先を3件も獲得して大活躍だったね。これもみんなA君の指導の賜物だよ」
「しかし最終的には目標の90%しか達成できませんでした。朝礼で部下たちにカツを入れたので、今年はきっと頑張ってくれますよ。アハハ……」
「相変わらず頼もしいな」