中国政府が欧州連合(EU)から輸入する一部酒類の反ダンピング(不当廉売)調査に着手した。このことでより大きな被害を受けるのは、酒類メーカーのレミーコアントローやペルノ・リカールではなく、自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)やステランティスかもしれない。調査対象は中国がEUから輸入するブランデーだ。フランスが中国でコニャックを不当に安く販売しているというのは笑い話に聞こえるかもしれないが、それでも投資家はコニャック株を浴びせ売りした。5日の取引で「レミーマルタン」を製造するレミーコアントローの株価は12%安、「マーテル」を製造するペルノ・リカールの株価は3.6%安となった。貿易の専門用語では、ダンピングとは海外で公正価格よりも安く売ることを意味し、ある国が過剰生産能力を持つ場合に起こるのが一般的だ。これはコニャック市場には全く当てはまらない。価格が高い上、熟成が必要で産地はフランス南西部コニャック周辺の一地域に限られるため、生産は厳しく制限される。
中国が欧州高級ブランデーを調査、割を食うのはEV
中国の不当廉売調査、欧州の強みである高級品輸出を逆手に取られる
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